スポーツでプロまで上り詰めた人でも、引退したら次の職が見つからない、セカンドキャリアに困っている人は山ほどいます。
たとえばドラフト一位で野球界に入るような素晴らしい選手でも、ある日突然解雇され、途方に暮れてしまう。「自分は野球しか知らないし、できない」。そう思い込んでいる。
その“コンプレックス”を取り除かない限り、次のキャリアに移れないんですよ。
私がサービスを立ち上げた理由がここにあります。
困っている体育会系出身者を何とかしてあげたい、本当にその一心でした。

新卒の就職にしても、体育会系の場合は問題があります。
学生時代、一生懸命スポーツをがんばってきても、大企業にエントリーすると六大学や名門体育大学以外の学生ははじかれてしまう。
本人もまた自分の“強み”を分析できていません。本当は、スポーツに真剣に取り組み、培ってきたものこそが“強み”なのに、それが分かっていないから就活がうまくいくはずもない。スポーツに打ち込んだことが、少しも就活に活かせないのです。

だから私は、本当に困っている体育会系出身者と、人材確保に苦労している優れた中小企業のため、双方の課題を解決するための採用サービスを立ち上げました。

体育会系出身者は、ひと昔前は「理不尽な命令にも黙って耐える」「上司・会社の言うことをよく聞く」という理由で採用されました。トップダウンで命令して下が従順に動けば、それで結果が出た。しかし今は違います。現場の社員が自分で考え戦略を練って、自ら動かなければ、結果が出ない時代なのです。
そこで企業は、昔とは違った意味で体育会系出身者に注目しはじめたんですね。それはなぜか。

スポーツには「正解」がありません。自分で戦略を立てて練習を重ね、試合に臨み、負けたら原因を分析・検証して改善し、ふたたび試合に臨む。漫然とやっていたのでは勝利も上達もありませんから。
選手たちは考えながら、試行錯誤を通して前進しているんです。 このプロセスはビジネスも同じ。そのまま応用できるんですよ。そしてこれこそ、正解を出すことに長けた体育会系ならではの“強み”なんです。
だから私の会社でみなさんに教えているのは、「競技経験をどのように仕事に活かすか」という方法論。アスリートを一人前のビジネスアスリートへと育成しています。
自主性と責任感をもってみずから動ける人──それがいま、時代に求められている人材なんです。

事実、多種多様な業界で活躍しています。中でもその強みを活かし、営業や販売職に就く人が多いですね。下手なプライドや思い込みを取り払えれば、どの分野でも活躍できます。フィールドはいくらでも広がっているんですよ。
よく、「営業はできません、向いてません」という人がいます。それは営業を「売り込んで人から嫌われる」仕事だと思っているから。違います。営業は「人の役に立ち、お客様に選んでもらう」仕事なんですよ。その思い込みさえとれば、挑戦できるはずです。

若くて経験がなければ、自分の適性はわからないでしょう。だからなんでもやってみればいい。
「自分が何をやりたいか」を見つけるために就職するのも一つの方法です。
就職は目的ではありません。大切なのは人生そのもの。人生の目標を達成するために仕事があるんです。

スポーツで実績を残した人なら、必ず社会でも結果を出せます。
レギュラーになれなかった人も悔しい挫折を味わった分、逆にそれをバネにして社会でがんばれる。事実、私がそうでしたから。「社会で結果を出すぞ」という気持ちさえあればいい。

みなさんに言いたいのは、これまでやってきたことは決して無駄じゃない、ということ。培ったものは必ず社会で活きてきます。思い込みを捨て、自信をもって、焦らずに就職・転職活動に取り組んでほしいと思いますね。

スポーツ：硬式テニス12年間（9歳から21歳まで）

ずばり、壁を乗り越える力を身に付けました。テニスをしていると課題が沢山出てきます。その課題をひとつずつ着実に乗り越えていく事が、大きな壁であったり、目標を達成できる唯一の方法だと、競技を通じて感じてました。とてもシンプルなのですが、「ひたすら目の前の練習と向き合い、繰り返す事で壁を乗り越える事ができる」と思っています。

また、この経験を通じて、「壁を乗り越える事ができるんだ」という自信もつける事ができました。僕は、器用な方ではなかったので、吸収がとても遅かったんです。（笑）
なので、とにかく反復練習。まず行動して、その中で考える。そして失敗したらそれを修正する。その繰り返しでした。迷った時は、いつも自分に「まずやってみよう。行動する事が成功への唯一の道」と言い聞かせ、行動し続けました。

私の就職活動は少し変わっていて、大学4年時は、メンタルコーチとして独立しようと考えていました。というのも、私は選手としては3年生で終え、4年生時は選手のメンタルケア側に回っていました。その経験もあり、その流れで「メンタルコーチングで、個人で食べていけないかなー。」と安易な考えでおりました。（笑）

ただ、年明け1月ぐらいに、将来の事をじっくり考える機会がありました。その時に、「学生の経験しかない人間のアドバイスなんて聞くのか？」と考えました。自分の答えは、勿論「NO」です。きっとわかっていた事なのですが、その答えから逃げていたのだと思います。まずは社会人として結果を出そうと考えました。そしてどうせやるなら1番になりたいと考え、「営業」という仕事を選びました。

現在の仕事：医療施設向けの広告媒体営業、予約システムの営業

競技の経験で活かされている事は2つです。
1つは印象面かと。自分で言うのも恥ずかしいのですが（笑）お客様から「印象が良いね！」と言って頂けます。部活では、声を出す事や挨拶をする事、あとは、サポート側だった事もあり、笑顔で雰囲気作りをしていました。会社に入社する前に、元体育会で営業で圧倒的な成果を上げた方の入社前研修を受ける機会があり、その際に、「今まで自分がやってきた事を社会でも実践し続ければ必ずお客様は振り向いてくれるよ」と言われ、それを素直に実行しています。

2つ目は、「成果を上げるには、行動する他ない」という軸がある事です。失敗が続き、上司から叱られ、先輩から叱られ、大変な事、苦しい事の方が圧倒的に多いです。ただ、それでも前を向こうと思えるのは、「必ず結果が出るかどうかは分からないけど、やらなければ結果は出ない」と競技を通じて学んだからです。僕は、体育会の推薦入学ではない為、メンバー外からのスタートでした。
結果の出ない時期が続き、目の前が真っ暗でした。それでも続けようと思ったのは、レギュラーになって、昇格を目指すという明確な目標があったからだと感じます。きっと仕事も同じで、強い動機付けや目標があれば、下向いている時間よりも、前を向いた方が合理的と自然と考えるのだと思います。競技と同じように、前を向き、自分の出来る事に集中して、とにかく行動していきたいと思います。