就職・再就職も受験と同じ。「過去問」に取り組むべし ― 精神科医 和田秀樹氏(第3回)

最終更新日: 2019年11月25日
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中村千晶

就職・再就職も受験と同じ。「過去問」に取り組むべし ― 精神科医 和田秀樹氏(第3回)

わだ・ひでき◆1960年生まれ。精神科医。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、アメリカ、カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科などを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書『受験は要領』がベストセラーに。「緑鐡受験指導ゼミナール」代表。劇映画初監督作品『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀作品賞受賞(07年)。『痛快!心理学 入門編、実践編』など著書多数。

 

――いま新卒者の3割が3年以内に辞めているそうです。

僕の知り合いに、金融関係の一流企業から大手広告会社に転職した若者がいます。結局うまくいかなくて、彼は「会社を名前で選ぶことはやめよう」と学んだようです。いまはそれまで働いて貯めたお金でアメリカで留学生活を送っていますよ。

日本人の悪い面だと思うのですが、結果よりもプロセスを重視するんですよね。大学名や企業名にこだわるのもプロセスを重視しているからです。本当に大事なのは「どんな仕事をしたいのか」「将来、どうなりたいのか」という結果なのに、ゴールを見据えずに、プロセス(=会社名)を重視すると、道を間違えてしまいます。

転職したいという人は、まず「自分がどんな理由でその会社に入ったのか」を考えてください。「有名な会社だったから」「憧れの職種だったから」など理由はさまざまでしょうが、そこを辞めるということは、自分の想像とは違った現実があったはず。「なぜ辞めるのか」の理由を考え、「自分が何を求めているのか」を分析し、失敗から学ばなければなりません。そうでないとまた同じことの繰り返しになります。

――和田さんが監督した映画「受験のシンデレラ」でも、東大を目指す中卒の主人公は「まず自分の実力と現実を知る」ことからスタートしますね。

僕の受験ノウハウを学んで進学した人は、就職にも転職にも臨機応変で“しぶとい”人が多いんですよ(笑)。受験テクニックで進学することを否定的に言う人も多いけれど、一度、受験の方法論を見出したり、傾向や対策を立てることで成功したりした人は、その体験を生かして社会でもつぶしが利く。いまの環境が合わなかったときに「じゃあ医学部を受け直せばいい」「資格試験を受けよう」などの対応ができるのです。

いっぽうで「学校の先生の言うとおりに勉強して東大に行った」というような秀才タイプは、会社でも上司のいいなりになって、メンタル面でも潰れてしまうケースに陥りやすいと感じます。

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撮影:丸橋ユキ

――最後に、Re就活をする若者に応援メッセージをいただけますか。

転職はもちろん悪いことじゃありません。人生経験を重ねたり、自分のスキルアップにつながるわけですから、どんどんすればよいと思います。

僕は医者としても患者さんに「ドクターショッピング(※次々と医師や病院を替えること)をしてもいい」と言っています。ただし、1回で治せる医者はいない。半年なら半年通ってみて、合わないと思ったら別の医者に行く。1回や2回通っただけで医者を次々と変えていては、おそらく永遠にいい医者は見つからないでしょう。

転職も同じです。半年か1年、ひとつの会社で、その会社の構造や仕事の構造が見えるまで経験したほうがいい。それでも合わなかったら次を探す。前職の経験を生かし、能力やスキルを身につけ、自分の商品価値を高める努力を忘れずにいれば、必ず次につながると思います。

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