2023.04.14FOCUS
リスキリングとは?リカレント教育との違いや導入企業、リスキリングに取り組むメリットを紹介
20代の働き方研究所 研究員 R.W.
リスキリングは、DX化の推進により企業や社会全体で重要視されている取り組みです。
このコラムでは、今注目されているリスキリングの概要や、リスキリングに取り組むメリットなどを紹介します。また、実際に導入している企業の成功事例も参考にしながら、リスキリングへの理解を深めてみましょう。
職業とは直接関係ないこと(ボランティア、スポーツ、趣味)なども含めて、生涯にわたって豊かな生活を送るための学習
OJT
「On the Job Training」の略語で上司や先輩により実務の中で研修を受けながらスキルを身に付ける方法
「リスキリング」は、産業構造の変化への対応や生産性の向上を目的にスキルの再構築を目指すもので、ビジネスにおいて必要な能力や、成長分野で必要なスキルを再開発するために行われます。対して、リカレント教育は、自身が伸ばしたい能力を開拓し、次の就業へつなげるための自己投資的意味合いが強くなる点が異なります。
また、OJTは主に新人が現場で直面しうる課題や業務を、実務の中でスキルとして取得していくという研修型の取り組みです。生涯学習はそもそもライフクオリティを高めるためのアクティビティで、レクリエーション、スポーツ、レジャーなどにおいて学びを得るという就業に必ずしもつながらない趣味も含まれます。
リカレント教育について詳しくみる
そこで、日本政府はリスキリングに注目し、企業の人材の再教育を促し、DX(Digital Transformation)の推進を目指すようになりました。
同時に昨今の社会事情により、リモートワークやオンラインを通した働き方の変化が浸透してきた背景も、リスキングが求められるようになった理由の一つと考えられます。
一方、日本では、各企業のリスキリングに対する意識改革や国によるサポートが始まったばかりで、経済産業省や厚生労働省が政策を推進中です。現行、リスキングの一環として活用できる制度に、2022年7月に経済産業省が立ち上げた「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」や、「人材開発支援助成金」などがあります。
・仕事の生産性が上がる
・市場価値を高めることができる
リスキリングに取り組むことにより、得られるメリットがあります。将来的に役立つリスキリングの効果についてみてみましょう。
仕事の幅が広がる
リスキリングによって、自身のスキルの幅が広がります。企業の成長とともにリスキリングの内容も高度化すれば、ますます専門的な知識・スキルを身に付けることができ、社内での活躍の場も増えるでしょう。
仕事の生産性が上がる
必ずしも「リスキリング=DX」という訳ではないものの、リスキリングでデジタルスキルが向上することにより、仕事の効率を上げることができます。よって高い成果を上げられるようになり、仕事の生産性を上げることができるのです。
市場価値を高めることができる
実はリスキリングで獲得した能力は、市場価値を高めてくれる強みになります。リスキリングでは汎用性の高いビジネススキルを身に付けられるため、市場価値の高い人材と評価されやすくなります。また、幅広いスキルを持っていることで転職先の選択肢も増えるでしょう。
富士通
株式会社富士通ラーニングメディアは、DX推進へのリスキリング、個人のマインド醸成、企業・組織のカルチャー変革、最新の技術トレンドなどを柱とする122コースを拡充しています。
人材育成ソリューションを提供する同社は、DX時代に求められる人材が学ぶべき「デジタル戦略・組織」、「デジタル思考」、「デジタルプロセス」、「デジタルテクノロジー」、「デジタルリテラシー」の5つの要素を取得できるラーニングメソッドが特長。自律的なキャリア形成や、個人のWell-Being実現を目標とした人材育成カリキュラムを提供しています。
キャノン
キャノンが注力するリスキリングの焦点は、グローバルに対応する人材育成。欧米での人材交流プログラム「US / Europe ExchangeProgram」やアジアで幹部候補を育成するための研修「ASIA CGAP」が実施され、2021年時点で1000人以上の海外出向を可能にしました。
ソフトウエアや機械電気、解析に至るまで社内における470以上の講座を開設し、研修を実施したほか、eラーニングの導入やソフトウエア技術者向け研修施設CIST(Canon Institute of Software Technology)において、DX教育を強化しています。
ダイキン
総合空調専門企業のダイキンは、大阪大学との提携によりAIやデータ解析分野を学ぶ社内講座を開設しています。空調設備の分野においてもDX化の波は押し寄せており、特に工場生産部品のスマート化や熟練技術の伝承、AIやIoTによる付加価値の高い製品開発など、新たなイノベーションのための人材育成が不可欠となっています。
ダイキンが構築したリスキリングプログラム「ダイキン情報技術大学」では、選抜された20~40代の社員が情報科学分野の講義を受講することで、新しい空調ソリューションの創出やものづくり技術の高度化、改革などを推進するためのスキルを学ぶことができます。
無料で学び直しができるポータルサイトやオンライン講座もあるので、これまで学習機会をなかなか持つことが出来なかった人でも、新たな学習を始めるきっかけは沢山あります。積極的に学びの機会を得て、キャリア形成の幅を広げてみましょう。
このコラムでは、今注目されているリスキリングの概要や、リスキリングに取り組むメリットなどを紹介します。また、実際に導入している企業の成功事例も参考にしながら、リスキリングへの理解を深めてみましょう。
リスキリングとは
リスキリング(Reskilling)とは、現代社会の移り行く技術革新や業務改革に対応するためのスキルや知識を身に付けることです。リスキリングと似た言葉として以下のような言葉もありますが、その定義は異なります。
リカレント教育
職業上必要な知識・技術を修得するために、フルタイムの就学と、 フルタイムの就職を繰り返すこと
職業とは直接関係ないこと(ボランティア、スポーツ、趣味)なども含めて、生涯にわたって豊かな生活を送るための学習
OJT
「On the Job Training」の略語で上司や先輩により実務の中で研修を受けながらスキルを身に付ける方法
「リスキリング」は、産業構造の変化への対応や生産性の向上を目的にスキルの再構築を目指すもので、ビジネスにおいて必要な能力や、成長分野で必要なスキルを再開発するために行われます。対して、リカレント教育は、自身が伸ばしたい能力を開拓し、次の就業へつなげるための自己投資的意味合いが強くなる点が異なります。
また、OJTは主に新人が現場で直面しうる課題や業務を、実務の中でスキルとして取得していくという研修型の取り組みです。生涯学習はそもそもライフクオリティを高めるためのアクティビティで、レクリエーション、スポーツ、レジャーなどにおいて学びを得るという就業に必ずしもつながらない趣味も含まれます。
リカレント教育について詳しくみる
リスキリングが注目されている理由
近年、世界的にICT(情報通信技術)が急激に発展する第4次産業革命を迎えています。そのため、あらゆる業界で企業競争の生き残りをかけ、高いデジタルスキルを持った人材が重要視されているのですが、現状は人材不足が課題となっているのです。そこで、日本政府はリスキリングに注目し、企業の人材の再教育を促し、DX(Digital Transformation)の推進を目指すようになりました。
同時に昨今の社会事情により、リモートワークやオンラインを通した働き方の変化が浸透してきた背景も、リスキングが求められるようになった理由の一つと考えられます。
リスキリングに対する海外と日本の現状
欧米諸国では、すでにリスキリングに取り組んでいる企業が多くみられます。2020年に開催された世界経済フォーラム年次大会では、「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする(「リスキリング革命」)」と発表されました。一方、日本では、各企業のリスキリングに対する意識改革や国によるサポートが始まったばかりで、経済産業省や厚生労働省が政策を推進中です。現行、リスキングの一環として活用できる制度に、2022年7月に経済産業省が立ち上げた「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」や、「人材開発支援助成金」などがあります。
リスキリングに取り組むメリット
・仕事の幅が広がる・仕事の生産性が上がる
・市場価値を高めることができる
リスキリングに取り組むことにより、得られるメリットがあります。将来的に役立つリスキリングの効果についてみてみましょう。
仕事の幅が広がる
リスキリングによって、自身のスキルの幅が広がります。企業の成長とともにリスキリングの内容も高度化すれば、ますます専門的な知識・スキルを身に付けることができ、社内での活躍の場も増えるでしょう。
仕事の生産性が上がる
必ずしも「リスキリング=DX」という訳ではないものの、リスキリングでデジタルスキルが向上することにより、仕事の効率を上げることができます。よって高い成果を上げられるようになり、仕事の生産性を上げることができるのです。
市場価値を高めることができる
実はリスキリングで獲得した能力は、市場価値を高めてくれる強みになります。リスキリングでは汎用性の高いビジネススキルを身に付けられるため、市場価値の高い人材と評価されやすくなります。また、幅広いスキルを持っていることで転職先の選択肢も増えるでしょう。
リスキリングを導入した企業の事例
リスキリングは、日本の代表的な企業でも多様に取り組みが進められています。以下で、特徴的なリスキリングの事例をご覧いただきます。富士通
株式会社富士通ラーニングメディアは、DX推進へのリスキリング、個人のマインド醸成、企業・組織のカルチャー変革、最新の技術トレンドなどを柱とする122コースを拡充しています。
人材育成ソリューションを提供する同社は、DX時代に求められる人材が学ぶべき「デジタル戦略・組織」、「デジタル思考」、「デジタルプロセス」、「デジタルテクノロジー」、「デジタルリテラシー」の5つの要素を取得できるラーニングメソッドが特長。自律的なキャリア形成や、個人のWell-Being実現を目標とした人材育成カリキュラムを提供しています。
キャノン
キャノンが注力するリスキリングの焦点は、グローバルに対応する人材育成。欧米での人材交流プログラム「US / Europe ExchangeProgram」やアジアで幹部候補を育成するための研修「ASIA CGAP」が実施され、2021年時点で1000人以上の海外出向を可能にしました。
ソフトウエアや機械電気、解析に至るまで社内における470以上の講座を開設し、研修を実施したほか、eラーニングの導入やソフトウエア技術者向け研修施設CIST(Canon Institute of Software Technology)において、DX教育を強化しています。
ダイキン
総合空調専門企業のダイキンは、大阪大学との提携によりAIやデータ解析分野を学ぶ社内講座を開設しています。空調設備の分野においてもDX化の波は押し寄せており、特に工場生産部品のスマート化や熟練技術の伝承、AIやIoTによる付加価値の高い製品開発など、新たなイノベーションのための人材育成が不可欠となっています。
ダイキンが構築したリスキリングプログラム「ダイキン情報技術大学」では、選抜された20~40代の社員が情報科学分野の講義を受講することで、新しい空調ソリューションの創出やものづくり技術の高度化、改革などを推進するためのスキルを学ぶことができます。
リスキリングでキャリアの幅を広げよう
近年、DX化が加速する中で、各企業でリスキリングの取り組みが広がっています。政府によるサポートはまだ始まったばかりですが、これからさらにリスキリング導入の流れは加速していくはずです。無料で学び直しができるポータルサイトやオンライン講座もあるので、これまで学習機会をなかなか持つことが出来なかった人でも、新たな学習を始めるきっかけは沢山あります。積極的に学びの機会を得て、キャリア形成の幅を広げてみましょう。