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2023.03.08FOCUS

これからの就職活動は「自分らしさ」がカギ!?2024卒の学生6名に、就職活動について生の声を聞きました

20代の働き方研究所 研究員 T.I.
コロナ禍によってオンラインでの就職活動が一般化するなど、そのあり方は時代と共に刻々と変化しています。また、就職活動の準備を進める2024年卒の学生は、入学したときからコロナ禍で学生生活に制約が課されてきました。
今回は「いま、学生は就職活動に何を思う?」と題し、2024卒学生6名に就職活動へ思うことをインタビュー。この春に就活解禁を迎える2024卒の学生は、どんな感想をもち、どうなればよりよい就職活動となるのか、率直に答えていただきました。


本インタビューは「あさがくナビ2024」を利用されている学生からアンケートにご協力いただき、インタビューを実施致しました。

Aさん…文系・商品開発や企画運営を学ぶ
Bさん…文系・地方大学でマーケティングを学ぶ
Cさん…文系・就職活動を早めに終わらせて留学を視野に入れている
Dさん…文系・ITで経済をよくしていく方法を探求中
Eさん…理系・大学院でタンパク質の研究を行っている
Fさん…理系・大学院でAIによる画像処理を研究

―本日はお集まりいただきありがとうございます。今回は「いま、学生は就職活動に何を思う?」と題し、インタビューさせていただきます。まず、皆さんはいつ頃から就職活動を意識されましたか?


Aさん:大学2年生の12月ぐらいからでしょうか。一つ上の先輩からSPIやWebテスト対策は早いうちに始めておいたほうがいいと教えてもらって。当時は志望業界などがまだ定まっていませんでしたが、どの企業の選考でも役立つので、早めに始めました。志望業界を絞ったり、深く自己分析し始めたのは、3年生の6月ぐらいからでした。

Bさん:私は2年生の夏頃です。浪人して入学したことで、高校時代の同級生が就活をスタートさせていたので、私も始めてみようと思ったのがきっかけです。大学の就活支援の一環で行われた学内インターンシップで本格的に始動しました。

Cさん:意識し始めたのは2年生になったタイミングからですが、数か月に一回くらいの頻度でイベントに参加し、情報を集めるくらいでした。そして3年生の5~6月ごろから本格的に始動しました。改めて大学のポータルサイトを見ると、1・2年生でも参加できる学内イベントの情報が結構あったので、もっと早い時期から動き出したらよかったかなとも思っています。

Dさん:本格的に就職活動を始めたのは3年生の5月末、インターンシップの募集が始まったころでしたが、3月に学校主催の就職活動セミナーに参加したので、その時から意識はしていましたね。

Eさん:私は3年生の6月ぐらいから意識していましたが、本格的に始めたのは11月ぐらいからです。というのも、私はIT業界を志望しているのですが、冬のインターンシップが選考に繋がることも多いらしくて・・・。

Fさん:私もIT業界志望ですが、IT業界は選考開始が早いみたいなんです。2024年卒ですが、2023年の3~4月に内々定を出す企業もあるそうで、早めに準備する必要がありました。実際にはもっと早い企業もあり、12月の段階で面接の翌日や、なかには面接中に内々定受諾を求められることもありました。就職活動は自分の人生を大きく左右する選択なので、その決断を早期に迫られるというのは、違和感がありました。


株式会社学情が2024卒の大学生・大学院生を対象に行った「就職活動準備の状況」のアンケートによると、就職活動準備やインターンシップの情報収集を開始した時期について、26.0%の学生が1・2年生のうちから、就職活動準備やインターンシップの情報収集を開始していることが明らかになりました。
 
―皆さん既に就職活動の準備を進めていらっしゃるんですね。これまで準備をされてきた中で、就職活動についてどのような感想をお持ちでしょうか

Dさん:人事の方の印象が良いと、この会社いいかも!って思っちゃいますよね。説明会やインターンシップ中にフレンドリーに接してもらえると、その企業の印象もよくなります。ただ、その後の選考に参加したあと、送られてきたいわゆる「お祈りメール」が定型文だったときは少し悲しくなりました。あの時のフレンドリーさは作られたものだったのかな、と疑心暗鬼になってしまいます。

Fさん:私も人事の方のテンションの高さに驚いたことがありました。というのも、自社に惹きつけることに必死なあまり、行き過ぎなくらいフレンドリーな対応に見えたんですよね。「自社をより良く見せる」ことが求められる社風なのかな、と少し違和感がありました。

Cさん:これは就職活動を経験された全員が感じることだと思うんですが、私は服装や髪型に関する制約が多いと感じています。全員がリクルートスーツを着て、黒染めをして髪を縛って・・・ということに「本当にそんなことをする必要があるの?」と思ってしまいます。

(一同うなずく)

Cさん:場に合わせた服装や清潔感が大切だというのはわかるんですが、過度に統一して個性をつぶしてしまっていると感じます。私は就職活動を始める前は髪をピンクに染めていたのですが、就職活動のために黒く染めました。そのことをオンライン留学しているオーストラリアの授業で先生に言うと、「ああ、日本らしいね」と言われたんです。海外から見ても、日本の就職活動のスタイルは変わっているんだと思いました。

Eさん:学歴社会という感じもまだまだしますよね。募集要項には学歴不問、文理不問とあるのに、実際のところは学歴でふるいにかけられるような印象を持つこともあります。

Bさん:時間をかけて作成したエントリーシートがあっさり落とされたりすると、学歴フィルターを疑ってしまうこともありますよね。せめてなぜ落とされたのか、明確なフィードバックがもらえれば、今後の就職活動の対策にもなるのになあと思ってしまいます。

―みなさん、色々な感想をお持ちですね。企業の対応がどのようなものだったら良いと思いますか

Aさん:各企業が求める人物像というか、ロールモデルを提示してもらえると、自分に合った企業が探しやすくなりますよね。協調性があって、前向きで、みたいにどこの企業も同じような人を求めているように見えてしまいます。本当にその企業が自分に合っているのかわかるように、その企業で活躍している人がどんな人なのかということや働く姿などを就活生に見えるようにしてもらうと、企業と学生のミスマッチを防ぐことができると思います。

Eさん:その会社で働く社員のリアルな声も聞かせてもらえれば、自分が働いている姿をもっと解像度高く思い描くことができるんじゃないでしょうか。「社員のリアルな声が聞ける」ということで参加した交流会も、「御社の改善したほうがいいと思うポイントはありますか?」と聞くと当たり障りのないような回答が返ってきたこともありました。ネガティブな話を就活生にしたくない、というのももちろん分かるんですが・・・。入社してからネガティブな面を知っても遅いので、「この設備が古いから新しくした方が良いと思っている」とか「こういう制度があればもっと働きやすくなる」みたいな忌憚のない意見を聞かせてもらった方が、腹を割って話している感じがして好感が持てます。

Cさん:私は地方に住んでいるのですが、オンライン普及の恩恵を存分に受けている一方、対面のインターンシップなどは都市部で開催されることが多いですよね。都心のイベントに参加しようとすると、交通費だけで大きな出費になります。企業のリアルな雰囲気を知りたいのでできれば対面で参加したいと思う反面、そのときにかかる交通費が大きなハードルになっています。

Bさん:私も地方在住なので、交通費にはいつも悩まされています。都市部に比べると対面のセミナーやインターンシップが開催される機会は少ないですし、全ての企業がオンラインに対応しているわけでもありません。また、たとえオンラインでの開催があったとしても、全3日間のうち2日はオンラインのプログラム、1日は対面のプログラムといった参加しづらいスケジュールの場合も。オンライン参加の機会が増えたり、対面で参加しやすいように交通費の補助が充実すると、もっと就職先の選択肢が広がると思います。

Dさん:インターンシップに参加しないとその後の選考への参加機会が制限されてしまうこともある中で、インターンシップが1回しか開催されない企業もありますよね。そのインターンシップもエントリーシートでの選考があって、参加機会が平等ではないと感じます。せめてインターンシップを複数回行うか、インターンシップ経由ではない選考参加の機会も設けてもらえると、せっかく企業に興味を持ったのに選考にすら参加できなかった、という事態を減らせるはずです。

―最後に、皆さんの「日本の就職活動、もっとこうなってほしい!」を聞かせてください。

Fさん:日本の就職活動では、まだまだ学歴フィルターが残っていると思います。学歴に関係なく、研究内容や人間性が優れている人はたくさんいます。学歴は参考程度に、その人がこれまでにやってきたことや、面接等を通して理解した人間性で内定が獲得できるようになって欲しいですね。

Aさん:私は地方に住んでいることがハンデにならない就職活動を実現してほしいです。就職活動のためにアルバイトでお金を稼いで、でもそのせいで就活に集中できなくて、というジレンマには本当に悩まされています。

Dさん:参加機会がもっと平等になればいいと思います。特に地方では、説明会やインターンシップの日程が限られて参加できないこともあります。エントリーシートや面接で落ちるというならまだ納得できるんですが、そもそもそうした機会に参加しづらいというのは良くないのかなと思います。

Cさん:もっと個性を尊重するような採用活動も広がってほしいですね。髪色や服装、マナー、定型文・・・。もっと自由に自分らしく就職活動ができれば、学生はより個性を発揮でき、企業はそれを見て自社にマッチする人材を採用できるようになると思うので、企業ももっと成長できるようになるんじゃないかと思います。

Eさん:学校では「みんな違ってみんな良い」と教えるのに、就職活動になると急に自分らしさを抑えることを求められるように思います。スーツだけでなく、私服での就職活動もいいんじゃないでしょうか。その人の内面や本質で勝負できる就活になってほしいです。

Bさん:機会の平等や個性の重視によって、一人ひとりが尊重される就職活動が主流になるといいですよね。経済的な心配や所在地による制約から解き放たれて、なおかつ自身が一番「自分らしい」と思えるスタイルで就職活動に臨んだ方が、企業にとっても自社の求める人材と巡り合いやすくなるはずです。
 

インタビューを終えて

2024卒の就活生は、いわゆる「Z世代」。子どもの頃からスマートフォンやSNSが身近にあり、デジタルネイティブな世代と言われています。気軽に世界中の価値観に触れることができる環境で育ってきたので、他者を尊重し多様性を重視するとともに、「自分らしさ」も大切にする傾向です。また、コロナ禍で就職活動におけるオンライン活用が急速に進んだことを背景に、居住地にとらわれない機会の平等性を求めるのも、当然と言えるかもしれません。

こういった就活生の傾向に対応し、オンラインのインターンシップではスーツ着用を必須としないなど、これまで当たり前となっていたスタイルを見直し始めた企業も増えています。就活生も、与えられた条件の中で「自分らしさ」を企業に伝える方法はないか、今一度考えてみるといいかもしれません。例えばいわゆる「ガクチカ」がありきたりなものになっていないか、逆質問が使いまわしになっていないかなど、随所で「自分らしさ」を表現できれば、企業とのミスマッチも防ぐことができるはずです。そして、あなた自身が採用を行う側になった時には、就職活動を通じて感じたことを参考に仕組みを変えてみてはいかがでしょうか。就職活動の新たなスタンダードを創り出すのは、あなたかもしれません。
 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 T.I.

1995年5月生まれ。
新卒で食料品小売会社に入社。しかし小説家を目指して執筆活動を行っていた経験から、言葉でもっと人を惹きつける仕事がしたくなり一念発起。クリエイターとして就職情報会社に転職。以降、様々な業界の採用サイトやパンフレットの制作に携わる。20代の働き方研究所では記事執筆を担当。趣味はコーヒー豆の焙煎とラテアート。

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