2022.10.31INTERVIEW
創業以来、右肩上がりで成長。躍進するプレミアグループの根底にある「VALUE」と、人財育成・採用戦略に迫る
20代の働き方研究所 研究員 Y.S.
プレミアグループ株式会社
グループ人財開発部 部長・株式会社VALUE取締役
田中 真琴(たなか まこと)様 (写真右)
グループ人財採用部
佐野 詩音(さの しおん)様 (写真左)
オートモビリティサービス(自動車に関する複合的なサービス)を展開するプレミアグループ。「ファイナンス事業」「故障保証事業」「オートモビリティサービス事業」「カープレミア事業」の4事業を軸とし、2007年の創業以来、右肩上がりでの成長を実現しています。100年に一度と言われる自動車業界の変革期の中、国内外を問わず独自のビジネスモデルでさらに躍進を遂げている同社の田中さんと佐野さんにお話を伺いました。事業を担う一人ひとりの社員がパフォーマンスを発揮する背景には何があるのか。同社の根幹たる「VALUE」と人財育成の取り組みを取材しました。
ファイナンス事業:
オートクレジットを中心に、様々なシーンで利用されるファイナンスサービスを提供。
故障保証(ワランティ)事業:
購入した自動車が突然の故障に見舞われた際に、保証適用範囲において無償で修理が受けられるサービスを提供。
オートモビリティサービス事業:
自動車販売店や整備工場を対象に車の仕入れサポート、業務管理ソフトウェアなどソリューションサービスを提供。
カープレミア事業:
モビリティ事業者の会員組織「カープレミアクラブ」を組成し、加入会員向けの事業経営サポートサービスを提供。
(田中)旅行業や不動産業、小売業の企業でキャリアを積み、営業や管理部門などの仕事を経験した後、当社に転職しました。プレミアグループでは約12年間、人事畑を歩んでいます。入社当時は100名規模とまだまだ小さく、オートクレジットなどのファイナンス事業と故障保証事業(ワランティ)のみを手掛けていました。徐々に会社規模が大きくなるに伴い、採用責任者も経験しました。
そして2020年1月に当社グループの役職員に対する研修を企画・実施する株式会社VALUEの設立に伴って採用業務から教育・研修業務にシフトし、現在はグループ人財開発部の部長と株式会社VALUEの取締役を兼務しています。
(佐野)新卒で入社し4年目になります。初期配属は「営業事務チーム」という部署で、オートクレジット事業の営業社員のサポートをする仕事に従事していました。1年半ほど経験を積んだ後、2年目の9月にグループ人財採用部に異動しています。また、昨年には地域限定型のエリア総合職から全国転勤型の総合職に職掌転換しています。入社以来、大阪オフィスで勤務してきましたが、今後は関東など色々な拠点で経験を積んでいきたいと考えています。
―佐野さんが新卒でプレミアグループに入社しようと思ったのはどんな理由があったのでしょうか
(佐野)就職イベントで偶然出会ったのがきっかけとなりました。実は就職活動をしていた当時は自動車業界や金融業界にこだわっていたわけではありませんでした。ですが、自分の価値観や、学生時代にどんなことにやりがいを感じたのかを振り返ったとき、既に出来上がっている会社で働くよりも、これからどんどん成長していく会社を一緒に創り上げていくことをしてみたいと思ったんです。
そんな私の考えとピッタリだったことに加え、選考過程で多くの社員の方と面談の機会をいただき、一人ひとりが主体的に動き活躍していることを知って、ここなら自分らしく働けるのではと思いました。
―2007年に創業して以来、成長を続けるプレミアグループですが、その過程で事業領域を拡大していくなど、様々なチャレンジをされていますね
(佐野)創業当初はオートクレジット中心のファイナンス事業と自動車の故障保証事業を手掛けていました。そこから10年で東証二部上場を果たし、その1年後に東証一部上場を実現しました。それに伴ってファイナンス事業もさらに拡大し、故障保証事業は業界トップシェアを誇っています。
同業他社の多くは金融機関の傘下で事業を展開していることに対し、当社は独立系という強みを持っています。マーケットやニーズに合わせて柔軟に事業を展開できることから、海外にも進出し、ホールディングス体制として国内外に20社以上のグループ会社を有して事業を拡大しています。
現在は東証プライム市場に移行し「オートモビリティサービス事業」と「カープレミア事業」の新しい柱を築き連続増収増益という結果を残すことができています。自動車に関する幅広いサービスを提供する「オートモビリティ企業」として成長することができていると実感していますね。
―今後はどんな事業ビジョンを描かれているのでしょうか
(佐野)自動車販売店と整備工場との業界最大規模のネットワーク構築を進めています。いま、CASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス))、MaaS(Mobility as a Service)、電気自動車シフトなど、自動車業界は100年に1度とも言われる大きな変革期にあります。その中で個人のお客様とカープレミアクラブに加盟する法人を結び、自動車流通市場においてプラットフォーマーとしてNo.1を目指すことが今後の事業ビジョンです。
(田中)まず、創業にあたって経営理念・ミッションを定めました。私たちが掲げるミッションは「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します。」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します。」の二つです。このミッションを実現することが会社の使命とも言えます。ただし、そのためなら何をしても良いということでは当然ありません。そこで仕事をする上での価値観や心構えであるバリューも同時に定める必要がありました。
そのためバリューも創業時からのものです。バリューを制定するにあたっては、会社を大きくして、夢を掴むために一番大切なものが何かについて、創業メンバーが合宿をし、議論に議論を重ね、時には衝突しながらも辿り着いたものでした。
新しいサービスを生み出すことや会社の成長はもちろん大切なことではあるものの、実現のためには「人財」こそ大切で、その一人ひとりが同じ方向を向き最大のパワーを発揮するための旗印としてバリューである「強い」「明るい」「優しい」を策定しました。非常にシンプルであるため、解釈の仕方も一つではなく、一人ひとりにとっての「強い」「明るい」「優しい」があります。組織の中で社員同士が関わりあい、自分の解釈を共有し合っていくうちに一体感が生まれ、プレミアグループをさらに大きくしていくのです。創業以来、多くの仲間が入社していますが、それぞれがバリューを体現しています。
―日常の業務の中でバリューを体現していると感じる瞬間はどんなときなのでしょうか
(佐野)色々な場面で感じることではありますが、大きなことだけではなく日常の些細な仕事の中においてもたくさんあります。例えば仕事の目標設定の際に「これはちょっと難しいかもしれない」と思って低い目標設定をしそうになることもあるかもしれません。ですが、「強い」ということを体現しようと、よりチャレンジングな設定をして取り組むという姿勢も見られます。
また、「明るい」「優しい」ということであれば、例えば繁忙期などで仕事が忙しいときでも周囲に思いやりを持ち、明るく前向きな発言をするといったことも体現していると言えます。いずれも当たり前のことと思われるかもしれませんが、一人ひとりがバリューを体現しようと意識し行動することで、組織全体がより活性化していきます。
―日頃からバリューの体現を意識するとなると、一人ひとりにきちんと浸透させるような取り組みも必要になると思います
(田中)「バリュー研修」というものを実施しています。例えば新入社員であれば入社後すぐに研修を実施しています。事業内容や仕事のやり方を学ぶ前に、プレミアグループの社員のあり方をしっかり理解してもらうことが大事だと考えているのです。
詳細は明らかにできませんが、新入社員がチームに分かれ、一人ひとりにとっての「強い」「明るい」「優しい」とは何かをとことん考えたうえで、チーム・組織にとっての「強い」「明るい」「優しい」とは何かについても追究していきます。
入社間もない信頼関係をこれから築こうとする同期とミッションを達成するものとなっていますので、メンバー同士でのぶつかり合いも起こります。ただ、だからこそ一人ひとりが自分の「強い」「明るい」「優しい」を見出し、研修終了時にはプレミアグループのバリューを深く理解し、入社時から同じ目線で仕事に取り組むことができるようになります。こうした入社時の研修は新卒だけではなくキャリア入社の方にも実施しています。
また、入社時のみならずその後も年次ごとに研修を行っており、その年次で求められる力や役割についても学ぶことが出来るようになっています。
―年次別でも研修を実施されているとのことですが、研修を受ける前と後で受講した社員の方にどんな変化があるのでしょうか
(田中)参加者は、対話を通じて互いに学び・気づきを与え合います。そうした学びや気づきを持ちながら普段の仕事に戻ったときに「もっとこうしたい」と目標や理想が掲げられるようになり、その結果、取り組む業務のレベルも一つ上がるというものだと考えています。
日頃の業務を離れ、全く別の部署の社員と一緒にミッションに取り組みます。いつもと違う環境、メンバーだからこそ自分の意外な自己理解と他者理解が深まる機会になりますので、仕事において相乗効果を発揮することができるのです。
―株式会社VALUEも立ち上げてより研修・育成も強化しているそうですね
(田中)更なる成長には次のステージを切り拓く力が必要です。これまで醸成してきた価値観、当社の固有の強みに磨きをかけていくために2020年1月に株式会社VALUEを設立しました。「研修」はあくまで手段の一つではありますが、創業から大切にしてきたバリューをより多くの社員に伝えていくために研修に参加してもらいたいですし、ノウハウも蓄積して育成文化も根付かせていきたいと考えています。
そのような目的を掲げて設立した一方で、新型コロナウイルスが蔓延しました。会社への帰属意識が低下し、拠り所となるミッションやバリューを見失ってしまっては持続的な成長はできません。そうした背景も相まって、2021年には自社の保養所を取得し、そこをベースとして対面での研修を続けています。
(佐野)その通りです。採用においても一貫してバリューが重要な選考基準となっています。共感していただけるのかということもポイントですが、体現することができるのかという点も重視しています。
―体現できるかどうかということもポイントになるのですね
(佐野)入社後、自身で目標を立てて半期に一回、自身の目標と現状に対してフィードバックを受けるようになっているのですが、その際にも「強い」「明るい」「優しい」が項目として設定されており、バリューを体現できているか、どのようなプロセスで取り組んできたかを見ています。
若くしてリーダーやジョブローテーションを通じて色々な経験を積んで活躍している方はバリューを体現し、加えてチームに良い影響を与えることができる方です。そのため選考でもそのような成長可能性のある方なのかを重視しているということです。
―人事担当者の方の見極める力も試されそうですね
(佐野)もちろん人事担当者も真剣に向き合いますが、バリュー研修を通じて一人ひとりの社員にバリューが浸透しています。そのため当社では「全社採用」として役員や管理職から一般社員まで色々な社員が面接を担当し、全社で応募された方に向き合っています。
選考中は人事に加えて複数名の社員と出会います。それぞれの社員がバリューをどう体現しているのか知ることができますので、応募者の方は当社の価値観を理解していただけますし、当社としても深いところまで理解することができるのです。
なお、「全社採用」についても新卒・キャリアともに実施している取り組みです。
―具体的に「バリューを体現できるかどうか」をどのように見極めているのでしょうか
(佐野)確かに難しいポイントです。ただ、社員にバリューが浸透しているので、新卒採用であれば選考に参加してくれた学生のこれまでの体験やその時に得た気づきを聞いた時に、共通点があるかを見出していっています。
また、人それぞれ体験してきたことは異なるので、ある特定の体験をしている人だけを評価するといったようなことはありません。そうではなく、その体験が「自分を変えるきっかけになったのか」「自分の強みを見出せるきっかけとなったのか」という点を見ています。どんな方であれ、これまでの人生で大事な場面には遭遇しているはずです。
そして、私が面接を担当する際には「どんな行動をしたのか」ではなく「なぜその行動をとったのか」ということを聞いています。行動を起こすきっかけや動機にこそ、その方の根底にある考え方や価値観が現れると考えているからです。
キャリア採用においても、その方の前職の実績やキャリアも大事にはしながらも、「なぜ実績を打ち立てることができたのか」「どんなモチベーションで仕事に臨んでいるのか」といった点を聞いています。仕事に対する姿勢や頑張ることができる背景を探ると、その方の価値観が見えてきて、当社のバリューとの共通点を見出すことができると考えているのです。
―研修も採用活動も、とことんその人の本質に迫ろうとする姿勢が印象的ですが、事業が拡大し多くの方を採用するとなると一人ひとりに向き合うというのは労力もかかりそうです
(佐野)確かに大変ですね(笑)。その人の価値観を見出そうとするとどうしても面接時間は長くなってしまうものです。また、人事はもちろん他の社員も同じくらいの熱量で採用活動に臨んでいるので、時には会社資料を投影しながら、さながらプレゼンテーションのように学生に会社を紹介している人事以外の社員もいます。
ただ、採用人数が増えたからといって基準を変えてしまうと、プレミアグループの良さが薄くなり、かえって会社の成長が停滞してしまう恐れもあります。そのため、採用の軸をぶらすことはありません。
―形式的な面接だけではなく、色々なスタイルで、時間を割いて選考しているのですね。学生や求職者の方の反応はいかがですか
(佐野)長い時間をかけて向き合い、結果として非常に優秀ではあるけれど、当社と価値観やビジョンが合わずマッチしないという方もいます。その時には正直にお伝えし、時には併願している企業を一緒に調べてどの企業が一番活躍できそうかということを学生、求職者の方と一緒に探していくこともあります。
そのため、たとえ採用とならなかったとしても「ここまで親身になってくれる企業はなかったです。ありがとうございます」といったことを言っていただけることも多く、人事担当としてやりがいを感じますね。
その他にも、昨年の新卒採用で選考を辞退した学生が、「本当に良い会社だから一度、話を聞いてみた方がいいよ」と後輩に勧めてくれて、今年の選考に参加してくれたといったこともありました。
(佐野)価値観は人それぞれなので正解は一つではありませんが、私自身の経験を踏まえると、会社を知るためにとことん対話することが大事なのではないかと思います。当社の選考活動で時間を割いて対話するのは、まさに互いの価値観を共有し、一致点があるのかを探るためのものです。
面接や選考は「自分を評価してもらう場」と捉えて、どうしても「自分を良く見せないと」と思われている方もいるのではないでしょうか。会社のことを深く理解しようとせず、自分のことを一方的にアピールするばかりでは、本音を伝えることもできず自分が活躍できる会社を見つけることは難しいと思います。
社会人になってみて強く実感していることは、家族と過ごす時間よりも、同僚や先輩をはじめ会社の社員と過ごす時間の方が圧倒的に長いということです。だから、会社が自分らしく働ける場である方が居心地も良いですし、何より活躍できるようになるはずです。
そして、そのためには採用選考の段階で自分の価値観を伝えつつ、会社の価値観がどこにあるのかを見出し、一致するのかを確かめることが何よりも大事になりますし、そのためには対話を重ねていかなければならないと考えています。
当社ではカジュアルな面談や会社見学はもちろん、「こんな社員に会ってみたいです」とリクエストいただければお会いいただく機会も用意します。ホームページやナビサイトだけでは分からない社員のリアルな姿を見ることができるんです。
読者の方の中でこれから就職や転職活動をされるのであれば、そうした選考をしている企業をぜひ探していただきたいですし、自分からも会社を知るために積極的に働きかけてみるのが良いのではないでしょうか。
(田中)選考の過程で価値観が一致するかを探ることも大切ですし、その会社全体で価値観を共有し事業をしているかも大事なポイントになります。たくさんの社員のいる大企業なら人数が多い分、経営も安定していて事業も成長しやすいのではと思われるかもしれませんが、実はそうではないこともあります。価値観が共有されていなければ、一人ひとりの向いている方向が異なり、目標がぶれてしまうからです。いかに優秀な集団でも、まとまらなければ力が分散してしまいます。
プレミアグループではバリューが旗印となり、みんなが同じ方向に向かって力を発揮することで大きな成長を実現しています。優秀な社員ももちろんいますが、特殊なスキルや能力を持つ社員ばかりで組織されているわけではありません。ベクトルの一致は、自己実現の大きな力となります。
当グループは大企業でありながら、ベンチャー精神を兼ね備えているからこそ、幅広いフィールドが広がっており、様々なことに挑戦できます。培ってきた経験が同士・仲間と掛け合わさることでキャリアが磨かれていきます。自身の可能性をどんどん広げていき、人生を豊かにする舞台が当グループにはあると思っています。そうした会社をぜひ見つけていただきたいですね。 プレミアグループ株式会社
2007年7月設立。2017年12月に東証二部に上場を果たした後、1年後の2018年12月に東証一部に上場(現在は東証プライム市場に移行)。国内外でオートモビリティサービス(自動車に関する複合的なサービス)を展開し、「ファイナンス事業」「故障保証事業」「オートモビリティサービス事業」「カープレミア事業」を主事業としている。故障保証は業界トップシェアを誇る。環境に配慮した4R(リサイクル・リユース・リペア・リデュース)ビジネスの推進にも注力。
グループ人財開発部 部長・株式会社VALUE取締役
田中 真琴(たなか まこと)様 (写真右)
グループ人財採用部
佐野 詩音(さの しおん)様 (写真左)
オートモビリティサービス(自動車に関する複合的なサービス)を展開するプレミアグループ。「ファイナンス事業」「故障保証事業」「オートモビリティサービス事業」「カープレミア事業」の4事業を軸とし、2007年の創業以来、右肩上がりでの成長を実現しています。100年に一度と言われる自動車業界の変革期の中、国内外を問わず独自のビジネスモデルでさらに躍進を遂げている同社の田中さんと佐野さんにお話を伺いました。事業を担う一人ひとりの社員がパフォーマンスを発揮する背景には何があるのか。同社の根幹たる「VALUE」と人財育成の取り組みを取材しました。
ファイナンス事業:
オートクレジットを中心に、様々なシーンで利用されるファイナンスサービスを提供。
故障保証(ワランティ)事業:
購入した自動車が突然の故障に見舞われた際に、保証適用範囲において無償で修理が受けられるサービスを提供。
オートモビリティサービス事業:
自動車販売店や整備工場を対象に車の仕入れサポート、業務管理ソフトウェアなどソリューションサービスを提供。
カープレミア事業:
モビリティ事業者の会員組織「カープレミアクラブ」を組成し、加入会員向けの事業経営サポートサービスを提供。
自動車に関する幅広いサービスを提供する「オートモビリティ企業」へ
―まずはお二人のご経歴についてお伺いします。田中さんはキャリア入社で、佐野さんは新卒でプレミアグループに入社されたそうですね。(田中)旅行業や不動産業、小売業の企業でキャリアを積み、営業や管理部門などの仕事を経験した後、当社に転職しました。プレミアグループでは約12年間、人事畑を歩んでいます。入社当時は100名規模とまだまだ小さく、オートクレジットなどのファイナンス事業と故障保証事業(ワランティ)のみを手掛けていました。徐々に会社規模が大きくなるに伴い、採用責任者も経験しました。
そして2020年1月に当社グループの役職員に対する研修を企画・実施する株式会社VALUEの設立に伴って採用業務から教育・研修業務にシフトし、現在はグループ人財開発部の部長と株式会社VALUEの取締役を兼務しています。
(佐野)新卒で入社し4年目になります。初期配属は「営業事務チーム」という部署で、オートクレジット事業の営業社員のサポートをする仕事に従事していました。1年半ほど経験を積んだ後、2年目の9月にグループ人財採用部に異動しています。また、昨年には地域限定型のエリア総合職から全国転勤型の総合職に職掌転換しています。入社以来、大阪オフィスで勤務してきましたが、今後は関東など色々な拠点で経験を積んでいきたいと考えています。
―佐野さんが新卒でプレミアグループに入社しようと思ったのはどんな理由があったのでしょうか
(佐野)就職イベントで偶然出会ったのがきっかけとなりました。実は就職活動をしていた当時は自動車業界や金融業界にこだわっていたわけではありませんでした。ですが、自分の価値観や、学生時代にどんなことにやりがいを感じたのかを振り返ったとき、既に出来上がっている会社で働くよりも、これからどんどん成長していく会社を一緒に創り上げていくことをしてみたいと思ったんです。
そんな私の考えとピッタリだったことに加え、選考過程で多くの社員の方と面談の機会をいただき、一人ひとりが主体的に動き活躍していることを知って、ここなら自分らしく働けるのではと思いました。
―2007年に創業して以来、成長を続けるプレミアグループですが、その過程で事業領域を拡大していくなど、様々なチャレンジをされていますね
(佐野)創業当初はオートクレジット中心のファイナンス事業と自動車の故障保証事業を手掛けていました。そこから10年で東証二部上場を果たし、その1年後に東証一部上場を実現しました。それに伴ってファイナンス事業もさらに拡大し、故障保証事業は業界トップシェアを誇っています。
同業他社の多くは金融機関の傘下で事業を展開していることに対し、当社は独立系という強みを持っています。マーケットやニーズに合わせて柔軟に事業を展開できることから、海外にも進出し、ホールディングス体制として国内外に20社以上のグループ会社を有して事業を拡大しています。
現在は東証プライム市場に移行し「オートモビリティサービス事業」と「カープレミア事業」の新しい柱を築き連続増収増益という結果を残すことができています。自動車に関する幅広いサービスを提供する「オートモビリティ企業」として成長することができていると実感していますね。
―今後はどんな事業ビジョンを描かれているのでしょうか
(佐野)自動車販売店と整備工場との業界最大規模のネットワーク構築を進めています。いま、CASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス))、MaaS(Mobility as a Service)、電気自動車シフトなど、自動車業界は100年に1度とも言われる大きな変革期にあります。その中で個人のお客様とカープレミアクラブに加盟する法人を結び、自動車流通市場においてプラットフォーマーとしてNo.1を目指すことが今後の事業ビジョンです。
一人ひとりの社員が受け継ぐ。創業者の想いを結集した「VALUE」
―今回のテーマであるバリューが社員一人ひとりのパフォーマンスを最大化し、会社の成長の根幹になっているということですが、そもそもバリューはどのような経緯で策定されたのでしょうか(田中)まず、創業にあたって経営理念・ミッションを定めました。私たちが掲げるミッションは「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します。」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します。」の二つです。このミッションを実現することが会社の使命とも言えます。ただし、そのためなら何をしても良いということでは当然ありません。そこで仕事をする上での価値観や心構えであるバリューも同時に定める必要がありました。
そのためバリューも創業時からのものです。バリューを制定するにあたっては、会社を大きくして、夢を掴むために一番大切なものが何かについて、創業メンバーが合宿をし、議論に議論を重ね、時には衝突しながらも辿り着いたものでした。
新しいサービスを生み出すことや会社の成長はもちろん大切なことではあるものの、実現のためには「人財」こそ大切で、その一人ひとりが同じ方向を向き最大のパワーを発揮するための旗印としてバリューである「強い」「明るい」「優しい」を策定しました。非常にシンプルであるため、解釈の仕方も一つではなく、一人ひとりにとっての「強い」「明るい」「優しい」があります。組織の中で社員同士が関わりあい、自分の解釈を共有し合っていくうちに一体感が生まれ、プレミアグループをさらに大きくしていくのです。創業以来、多くの仲間が入社していますが、それぞれがバリューを体現しています。
プレミアグループのVALUE(同社ホームページより引用)
―日常の業務の中でバリューを体現していると感じる瞬間はどんなときなのでしょうか
(佐野)色々な場面で感じることではありますが、大きなことだけではなく日常の些細な仕事の中においてもたくさんあります。例えば仕事の目標設定の際に「これはちょっと難しいかもしれない」と思って低い目標設定をしそうになることもあるかもしれません。ですが、「強い」ということを体現しようと、よりチャレンジングな設定をして取り組むという姿勢も見られます。
また、「明るい」「優しい」ということであれば、例えば繁忙期などで仕事が忙しいときでも周囲に思いやりを持ち、明るく前向きな発言をするといったことも体現していると言えます。いずれも当たり前のことと思われるかもしれませんが、一人ひとりがバリューを体現しようと意識し行動することで、組織全体がより活性化していきます。
―日頃からバリューの体現を意識するとなると、一人ひとりにきちんと浸透させるような取り組みも必要になると思います
(田中)「バリュー研修」というものを実施しています。例えば新入社員であれば入社後すぐに研修を実施しています。事業内容や仕事のやり方を学ぶ前に、プレミアグループの社員のあり方をしっかり理解してもらうことが大事だと考えているのです。
詳細は明らかにできませんが、新入社員がチームに分かれ、一人ひとりにとっての「強い」「明るい」「優しい」とは何かをとことん考えたうえで、チーム・組織にとっての「強い」「明るい」「優しい」とは何かについても追究していきます。
入社間もない信頼関係をこれから築こうとする同期とミッションを達成するものとなっていますので、メンバー同士でのぶつかり合いも起こります。ただ、だからこそ一人ひとりが自分の「強い」「明るい」「優しい」を見出し、研修終了時にはプレミアグループのバリューを深く理解し、入社時から同じ目線で仕事に取り組むことができるようになります。こうした入社時の研修は新卒だけではなくキャリア入社の方にも実施しています。
また、入社時のみならずその後も年次ごとに研修を行っており、その年次で求められる力や役割についても学ぶことが出来るようになっています。
―年次別でも研修を実施されているとのことですが、研修を受ける前と後で受講した社員の方にどんな変化があるのでしょうか
(田中)参加者は、対話を通じて互いに学び・気づきを与え合います。そうした学びや気づきを持ちながら普段の仕事に戻ったときに「もっとこうしたい」と目標や理想が掲げられるようになり、その結果、取り組む業務のレベルも一つ上がるというものだと考えています。
日頃の業務を離れ、全く別の部署の社員と一緒にミッションに取り組みます。いつもと違う環境、メンバーだからこそ自分の意外な自己理解と他者理解が深まる機会になりますので、仕事において相乗効果を発揮することができるのです。
―株式会社VALUEも立ち上げてより研修・育成も強化しているそうですね
(田中)更なる成長には次のステージを切り拓く力が必要です。これまで醸成してきた価値観、当社の固有の強みに磨きをかけていくために2020年1月に株式会社VALUEを設立しました。「研修」はあくまで手段の一つではありますが、創業から大切にしてきたバリューをより多くの社員に伝えていくために研修に参加してもらいたいですし、ノウハウも蓄積して育成文化も根付かせていきたいと考えています。
そのような目的を掲げて設立した一方で、新型コロナウイルスが蔓延しました。会社への帰属意識が低下し、拠り所となるミッションやバリューを見失ってしまっては持続的な成長はできません。そうした背景も相まって、2021年には自社の保養所を取得し、そこをベースとして対面での研修を続けています。
対話を通じて会社と自身の価値観の一致を見出す採用
―こうしたバリューの浸透施策も大切ですが、採用段階において応募者の方がバリューに共感できる方かどうかを見極めることも大事なポイントとなりそうですね(佐野)その通りです。採用においても一貫してバリューが重要な選考基準となっています。共感していただけるのかということもポイントですが、体現することができるのかという点も重視しています。
―体現できるかどうかということもポイントになるのですね
(佐野)入社後、自身で目標を立てて半期に一回、自身の目標と現状に対してフィードバックを受けるようになっているのですが、その際にも「強い」「明るい」「優しい」が項目として設定されており、バリューを体現できているか、どのようなプロセスで取り組んできたかを見ています。
若くしてリーダーやジョブローテーションを通じて色々な経験を積んで活躍している方はバリューを体現し、加えてチームに良い影響を与えることができる方です。そのため選考でもそのような成長可能性のある方なのかを重視しているということです。
―人事担当者の方の見極める力も試されそうですね
(佐野)もちろん人事担当者も真剣に向き合いますが、バリュー研修を通じて一人ひとりの社員にバリューが浸透しています。そのため当社では「全社採用」として役員や管理職から一般社員まで色々な社員が面接を担当し、全社で応募された方に向き合っています。
選考中は人事に加えて複数名の社員と出会います。それぞれの社員がバリューをどう体現しているのか知ることができますので、応募者の方は当社の価値観を理解していただけますし、当社としても深いところまで理解することができるのです。
なお、「全社採用」についても新卒・キャリアともに実施している取り組みです。
―具体的に「バリューを体現できるかどうか」をどのように見極めているのでしょうか
(佐野)確かに難しいポイントです。ただ、社員にバリューが浸透しているので、新卒採用であれば選考に参加してくれた学生のこれまでの体験やその時に得た気づきを聞いた時に、共通点があるかを見出していっています。
また、人それぞれ体験してきたことは異なるので、ある特定の体験をしている人だけを評価するといったようなことはありません。そうではなく、その体験が「自分を変えるきっかけになったのか」「自分の強みを見出せるきっかけとなったのか」という点を見ています。どんな方であれ、これまでの人生で大事な場面には遭遇しているはずです。
そして、私が面接を担当する際には「どんな行動をしたのか」ではなく「なぜその行動をとったのか」ということを聞いています。行動を起こすきっかけや動機にこそ、その方の根底にある考え方や価値観が現れると考えているからです。
キャリア採用においても、その方の前職の実績やキャリアも大事にはしながらも、「なぜ実績を打ち立てることができたのか」「どんなモチベーションで仕事に臨んでいるのか」といった点を聞いています。仕事に対する姿勢や頑張ることができる背景を探ると、その方の価値観が見えてきて、当社のバリューとの共通点を見出すことができると考えているのです。
―研修も採用活動も、とことんその人の本質に迫ろうとする姿勢が印象的ですが、事業が拡大し多くの方を採用するとなると一人ひとりに向き合うというのは労力もかかりそうです
(佐野)確かに大変ですね(笑)。その人の価値観を見出そうとするとどうしても面接時間は長くなってしまうものです。また、人事はもちろん他の社員も同じくらいの熱量で採用活動に臨んでいるので、時には会社資料を投影しながら、さながらプレゼンテーションのように学生に会社を紹介している人事以外の社員もいます。
ただ、採用人数が増えたからといって基準を変えてしまうと、プレミアグループの良さが薄くなり、かえって会社の成長が停滞してしまう恐れもあります。そのため、採用の軸をぶらすことはありません。
―形式的な面接だけではなく、色々なスタイルで、時間を割いて選考しているのですね。学生や求職者の方の反応はいかがですか
(佐野)長い時間をかけて向き合い、結果として非常に優秀ではあるけれど、当社と価値観やビジョンが合わずマッチしないという方もいます。その時には正直にお伝えし、時には併願している企業を一緒に調べてどの企業が一番活躍できそうかということを学生、求職者の方と一緒に探していくこともあります。
そのため、たとえ採用とならなかったとしても「ここまで親身になってくれる企業はなかったです。ありがとうございます」といったことを言っていただけることも多く、人事担当としてやりがいを感じますね。
その他にも、昨年の新卒採用で選考を辞退した学生が、「本当に良い会社だから一度、話を聞いてみた方がいいよ」と後輩に勧めてくれて、今年の選考に参加してくれたといったこともありました。
自分が一番活躍できる会社を探すには
―ここまでお話を聞かせていただきありがとうございます。最後に会社の価値観と自身の価値観が一致する企業を見つけて活躍するために、学生・求職者の方にアドバイスやメッセージをお願いできますでしょうか(佐野)価値観は人それぞれなので正解は一つではありませんが、私自身の経験を踏まえると、会社を知るためにとことん対話することが大事なのではないかと思います。当社の選考活動で時間を割いて対話するのは、まさに互いの価値観を共有し、一致点があるのかを探るためのものです。
面接や選考は「自分を評価してもらう場」と捉えて、どうしても「自分を良く見せないと」と思われている方もいるのではないでしょうか。会社のことを深く理解しようとせず、自分のことを一方的にアピールするばかりでは、本音を伝えることもできず自分が活躍できる会社を見つけることは難しいと思います。
社会人になってみて強く実感していることは、家族と過ごす時間よりも、同僚や先輩をはじめ会社の社員と過ごす時間の方が圧倒的に長いということです。だから、会社が自分らしく働ける場である方が居心地も良いですし、何より活躍できるようになるはずです。
そして、そのためには採用選考の段階で自分の価値観を伝えつつ、会社の価値観がどこにあるのかを見出し、一致するのかを確かめることが何よりも大事になりますし、そのためには対話を重ねていかなければならないと考えています。
当社ではカジュアルな面談や会社見学はもちろん、「こんな社員に会ってみたいです」とリクエストいただければお会いいただく機会も用意します。ホームページやナビサイトだけでは分からない社員のリアルな姿を見ることができるんです。
読者の方の中でこれから就職や転職活動をされるのであれば、そうした選考をしている企業をぜひ探していただきたいですし、自分からも会社を知るために積極的に働きかけてみるのが良いのではないでしょうか。
(田中)選考の過程で価値観が一致するかを探ることも大切ですし、その会社全体で価値観を共有し事業をしているかも大事なポイントになります。たくさんの社員のいる大企業なら人数が多い分、経営も安定していて事業も成長しやすいのではと思われるかもしれませんが、実はそうではないこともあります。価値観が共有されていなければ、一人ひとりの向いている方向が異なり、目標がぶれてしまうからです。いかに優秀な集団でも、まとまらなければ力が分散してしまいます。
プレミアグループではバリューが旗印となり、みんなが同じ方向に向かって力を発揮することで大きな成長を実現しています。優秀な社員ももちろんいますが、特殊なスキルや能力を持つ社員ばかりで組織されているわけではありません。ベクトルの一致は、自己実現の大きな力となります。
当グループは大企業でありながら、ベンチャー精神を兼ね備えているからこそ、幅広いフィールドが広がっており、様々なことに挑戦できます。培ってきた経験が同士・仲間と掛け合わさることでキャリアが磨かれていきます。自身の可能性をどんどん広げていき、人生を豊かにする舞台が当グループにはあると思っています。そうした会社をぜひ見つけていただきたいですね。 プレミアグループ株式会社
2007年7月設立。2017年12月に東証二部に上場を果たした後、1年後の2018年12月に東証一部に上場(現在は東証プライム市場に移行)。国内外でオートモビリティサービス(自動車に関する複合的なサービス)を展開し、「ファイナンス事業」「故障保証事業」「オートモビリティサービス事業」「カープレミア事業」を主事業としている。故障保証は業界トップシェアを誇る。環境に配慮した4R(リサイクル・リユース・リペア・リデュース)ビジネスの推進にも注力。