2023.10.04INTERVIEW
医療現場に貢献するために、大学在学中に起業。医療サービスを革新する学生起業家の挑戦に迫る
20代の働き方研究所 研究員 T.I.
ジークス株式会社
代表取締役CEO
村上 嘉一(むらかみ かいち)様
今回お話を伺った村上さんは、名古屋大学入学後、AIベンチャー企業でインターンシップを経験し、2019年9月にジークス株式会社を設立されました(2023年7月4日時点では休学中)。創業当初はAI関連の受託開発に取り組み、2022年2月には乳児を育てる親の相談に小児科医が対応するサービス「あんよ online」をローンチ。現在は小児科にかかりたい親子と在宅で診療する小児科医を繋ぐオンライン診療サービスも開始しています。医療の領域で奮闘される村上さんに、起業ストーリーやその原動力について伺いました。
「あんよ online」とは
「在宅で医師のアドバイスが欲しい親御さん」と「在宅で働きたい医師」をつなぐ、小児科特化のオンライン診療プラットフォーム。薬の処方も可能で、最短翌日に郵送でお届け、もしくは提携している近くの薬局で即日受け取りが可能。家にいながら、オンラインで子供の体調に関わるあらゆる相談を行うことができる。
医療に興味を持ち始めたのは高校一年生の時です。当時、仲の良かった近所に住む叔母が重い病気で入院し、明日をも知れぬ状態から奇跡的に回復したのです。結局、その後も闘病生活を続けて、一年後には亡くなってしまったものの、医療従事者の方々が奮闘する姿や医療技術が人の命や人生に与える影響を目の当たりにしました。自分もこの分野に関わることで、多くの人に希望を与えたいと考え、医学部を目指して勉強し始めました。
そうした中、当時はAIブームで、ニュースやSNSでAIの話題をよく見かけていました。そこから医師になる以外の方法で医療に関わり、かつより多くの人たちにとって役に立つものを世の中に提供する手段として、ITやAIに興味が沸き、進学先に情報学部を選択しました。
そして新たなサービスを世の中に提供するというビジネスの観点が自分の中で生まれ、ぼんやりとですが、起業にも興味を持ち始めました。自分で何か作りたいという気持ちと、社会に良い影響を与えられるような存在になりたいという気持ちが強かったのです。
―その後、在学中にジークスを起業されたわけですが、どのような過程で起業に至ったのかが気になります
まずは、自分が作りたいサービスのアイデアを考え、そのアイデアについて、色々な人に意見を聞いてみました。周りの友人をはじめ、大学にも協力していただき、医療現場で働く方々や患者さんなどにもお話を聞く機会をいただけたのは幸運でしたね。皆さんのニーズや意見を聞いて、サービスの内容や価値を何度も検討していきました。起業家と起業を目指す若者のコミュニティにも顔を出し、同じ大学の先輩で起業を経験された方や、資金調達や上場を経験した方々に相談に乗ってもらうことも。先輩起業家からは、ビジネスモデルや収益性などを一から教わり、自分の事業プランをブラッシュアップしていきました。
最初は本当になにもわからず、すべてが手探り状態でした。だからこそ、とにかく色々な人に話を聞くことが大事だと考え、自分を奮い立たせて行動しました。自分が作ろうとしているサービスにどれくらい需要があるのか、どれくらい利益が出るのか、どれくらい競合がいるのかなど、多くの意見をいただき、何とか起業までこぎつけた、という感じです。
それから、自分のサービスをどうやって広めるかも考えなければなりません。どのようなターゲットに、どのようにアプローチするかなどです。そのためにも、ユーザー像や行動パターンなどを仮説立てて検証してみます。その検証を何度も繰り返し、事業プランを作り上げていきました。
―起業当時に考えていたことや、抱えていた葛藤について教えていただけますか
元々大学に入った目的が会社を立ち上げるきっかけを作ることで、創業メンバーも大学の仲間でしたし、大学発ベンチャーの先輩方にもお世話になっていました。名古屋大学のスタートアップ支援の組織にも、色々な大企業の方々が関わっていて、交流させてもらっていました。なので、学生起業であるとはいえ、やりたいことが明確になっていましたし、ある意味で大学に入学した目的も果たせつつありました。
とはいえ、やはり卒業しないと両親には説明がつかないし、就職をしないと社会人経験がないことが後々ネックになってくることも容易に想像できました。こうした葛藤はありながらも、リスクは歳を重ねるほど大きくなると思っているので、今チャレンジするしかない!と思い切りました。
最終的に自分の人生を決めるのは自分自身ですし、誰かが責任を取ってくれるわけではありません。なので、両親や意見をくれた方々には感謝しつつも、自分の道を進むことにしました。起業して社会により良いものを提供することで、恩返しできるとも思っていましたね。今は周りの人たちも応援してくれていて、僕の会社が成長しているのを見て、温かい言葉をかけてくれることが多いです。
1年生の後半から2年生の夏までインターンシップに参加しました。その会社ではインサイドセールスという部署で、医療分野のAIサービスを大手の病院や製薬会社などに提案する方法を学ばせていただきました。新卒で営業職として入社した人が経験するような業務の一通りを、このインターンシップで経験することができました。
学生のうちに起業するとなると、一般的なビジネスパーソンとしての社会人経験を積むことが難しくなります。営業のスキルはもちろんですが、会社の運営や働く人たちの姿勢なども間近で見ることができ、後の起業に向けて自信をつけることができた経験でした。
―創業当初はAIの受託開発をされていたということですが、そこから社会貢献性の高い医療サービスを提供するに至った経緯を教えてください
ジークスを立ち上げた時から、ゆくゆくは医療分野に事業展開していきたいとは思っており、創業メンバーもそういう志を持った人たちの集まりです。ただ、私たちは医者でもなければ医学生でもなくて、医療の現場や課題について全然わからなかったのです。だから、最初は自分たちができることとして、AIやディープラーニングの開発を受託するところから事業を始めました。それを二年ぐらいやりながら、医療業界の方々とも交流を深めて勉強しました。
何度も医療サービスのアイデアを考えてヒアリングしてはブラッシュアップする、ということを繰り返していく中で、一つだけ可能性があると思ったものがありました。それが医療に最初にアクセスするプライマリーケア領域のサービスです。体調が悪くなった時、何科を受診すればいいかわからなかったという経験はありませんか? そういう時に、気軽に相談できるアプリがあって、裏側に総合診療医がいて、アドバイスや紹介をしてくれるとしたら便利だと閃いたのが、現在のジークスが提供するサービスのコンセプトとなっています。
―現在は、子育て中の方々に向けたサービスを主軸に展開されていますよね
いろんな方々にプライマリーケアサービスについてヒアリングする中で、子育て中の方々がすごく興味を持ってくれたんです。子育て中の方々は子供の心身の健康について常に心配していることが多く、でも受診すべきか判断がつかなかったり、時間がなかったりするんですよね。一方で、小児科の先生方は子供の心身の健康に関する相談が多すぎて大変だとおっしゃっていました。親子関係や家庭環境なども考慮しなければならないため、彼らは子供だけでなく親も診なければなりません。多岐にわたる患者の悩みに対応するのに必要な時間やスキルは大変なものだと感じていました。
そこで、私たちは新たなサービスを提供することで、この両者のニーズを満たすことができると考えたのです。患者さんには適切な情報やアドバイスを提供する他、必要に応じて小児科医を紹介することで、不安を軽減する。先生方には子供のケアをサポートすることで負担を軽減する。そういう仕組みを作れば、両者にとってwin-winなサービスを提供することができます。
こうした経緯を経て、私たちの「あんよ online」はオンライン診療という形で医療サービスを提供しています。相談に答えてくれるのは現役の小児科医です。オンライン診療の時間を自由に設定できるようにすることで、例えば子育てなどを理由に現場で働くのが難しい医師でも、自宅からオンラインで診察することができます。オンライン診療では、子供の症状や様子を聞いたり、親の悩みや不安を聞いたりといったことはもちろん、必要なら処方箋も発行します。
私たちは医療の在り方について、今までの常識にとらわれないで考えることで、医療が必要な人に対して、最適な医療サービスが届くようにしたいと思っています。そのためには、AIやオンライン診療などの技術や仕組みを活用して、医療のアクセシビリティや効率性、品質を高める必要があり、その先駆けとなれるよう、努力を続けています。
私は医療の世界に挑戦しているというより、医療の世界を変えたいと思っています。ジークスのミッションは、「シンプルな仕組みで分け隔てなく最適な医療を届ける」ことです。日本の医療は国民皆保険を原則として、病気になれば国内どこの病院でも受診可能で、均一料金で適切な処置を受けることができます。その反面、慢性的に医師不足という課題を抱えています。それに加えて、医療に関する法律やステークホルダーの関係も120年ぐらい大きくは変わっていません。
私たちはこの問題に対して、AIやオンライン診療などのこれまで医療分野にはなかった技術や仕組みを使って、根本的に解決できるようなサービスを作りたいと考えています。自分のポジションにはこだわらないですが、自分のビジョンにはこだわりを持って取り組んでいきます。
次のステージについても考えていて、例えば、世界中の医療が届かない人たちにも医療を届けたいと思っていますし、医療とお金の問題も解決したいとも思っています。まだまだ案出しの段階ですが、多くの人にとって役立つサービスを提供できるよう、これまで通りメンバーをはじめ、多くの人の意見を聞きながら形にしていきます。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、起業に興味がある学生やビジネスパーソンに向けて、メッセージをお願いします
何かやりたいことがあるなら、やらない理由を探さずにやってみることが大切だと思います。やらない理由はたくさん出てきますが、やる理由は自分で見つけなければなりません。私も最初は医療分野なんて無理だと言われましたが、やりたいと言って行動したら応援してくれる人やチャンスが現れました。
まず、自分のやりたいことを身近な人に発信してみることをおすすめします。自分を後戻りできない状況に追い込むという意味もありますが、周りの人に発信し続けることで、応援者やアドバイスをくれる方々、そして志を共にする仲間が、自然と集まってくるはずです。
ジークス株式会社
2019年9月に名古屋大学・名古屋工業大学の学生によって設立。「シンプルな仕組みで分け隔てなく最適な医療を届ける」というミッションを掲げ、医療が必要な人に、必要な医療が分け隔てなく届く仕組みづくりに邁進している。
代表取締役CEO
村上 嘉一(むらかみ かいち)様
今回お話を伺った村上さんは、名古屋大学入学後、AIベンチャー企業でインターンシップを経験し、2019年9月にジークス株式会社を設立されました(2023年7月4日時点では休学中)。創業当初はAI関連の受託開発に取り組み、2022年2月には乳児を育てる親の相談に小児科医が対応するサービス「あんよ online」をローンチ。現在は小児科にかかりたい親子と在宅で診療する小児科医を繋ぐオンライン診療サービスも開始しています。医療の領域で奮闘される村上さんに、起業ストーリーやその原動力について伺いました。
「あんよ online」とは
「在宅で医師のアドバイスが欲しい親御さん」と「在宅で働きたい医師」をつなぐ、小児科特化のオンライン診療プラットフォーム。薬の処方も可能で、最短翌日に郵送でお届け、もしくは提携している近くの薬局で即日受け取りが可能。家にいながら、オンラインで子供の体調に関わるあらゆる相談を行うことができる。
大学在学中に起業した経緯、葛藤
―まずはバックボーンからお伺いできればと思います。現在、医療分野で事業を展開されていますが、どんなきっかけからでしょうか医療に興味を持ち始めたのは高校一年生の時です。当時、仲の良かった近所に住む叔母が重い病気で入院し、明日をも知れぬ状態から奇跡的に回復したのです。結局、その後も闘病生活を続けて、一年後には亡くなってしまったものの、医療従事者の方々が奮闘する姿や医療技術が人の命や人生に与える影響を目の当たりにしました。自分もこの分野に関わることで、多くの人に希望を与えたいと考え、医学部を目指して勉強し始めました。
そうした中、当時はAIブームで、ニュースやSNSでAIの話題をよく見かけていました。そこから医師になる以外の方法で医療に関わり、かつより多くの人たちにとって役に立つものを世の中に提供する手段として、ITやAIに興味が沸き、進学先に情報学部を選択しました。
そして新たなサービスを世の中に提供するというビジネスの観点が自分の中で生まれ、ぼんやりとですが、起業にも興味を持ち始めました。自分で何か作りたいという気持ちと、社会に良い影響を与えられるような存在になりたいという気持ちが強かったのです。
―その後、在学中にジークスを起業されたわけですが、どのような過程で起業に至ったのかが気になります
まずは、自分が作りたいサービスのアイデアを考え、そのアイデアについて、色々な人に意見を聞いてみました。周りの友人をはじめ、大学にも協力していただき、医療現場で働く方々や患者さんなどにもお話を聞く機会をいただけたのは幸運でしたね。皆さんのニーズや意見を聞いて、サービスの内容や価値を何度も検討していきました。起業家と起業を目指す若者のコミュニティにも顔を出し、同じ大学の先輩で起業を経験された方や、資金調達や上場を経験した方々に相談に乗ってもらうことも。先輩起業家からは、ビジネスモデルや収益性などを一から教わり、自分の事業プランをブラッシュアップしていきました。
最初は本当になにもわからず、すべてが手探り状態でした。だからこそ、とにかく色々な人に話を聞くことが大事だと考え、自分を奮い立たせて行動しました。自分が作ろうとしているサービスにどれくらい需要があるのか、どれくらい利益が出るのか、どれくらい競合がいるのかなど、多くの意見をいただき、何とか起業までこぎつけた、という感じです。
それから、自分のサービスをどうやって広めるかも考えなければなりません。どのようなターゲットに、どのようにアプローチするかなどです。そのためにも、ユーザー像や行動パターンなどを仮説立てて検証してみます。その検証を何度も繰り返し、事業プランを作り上げていきました。
―起業当時に考えていたことや、抱えていた葛藤について教えていただけますか
元々大学に入った目的が会社を立ち上げるきっかけを作ることで、創業メンバーも大学の仲間でしたし、大学発ベンチャーの先輩方にもお世話になっていました。名古屋大学のスタートアップ支援の組織にも、色々な大企業の方々が関わっていて、交流させてもらっていました。なので、学生起業であるとはいえ、やりたいことが明確になっていましたし、ある意味で大学に入学した目的も果たせつつありました。
とはいえ、やはり卒業しないと両親には説明がつかないし、就職をしないと社会人経験がないことが後々ネックになってくることも容易に想像できました。こうした葛藤はありながらも、リスクは歳を重ねるほど大きくなると思っているので、今チャレンジするしかない!と思い切りました。
最終的に自分の人生を決めるのは自分自身ですし、誰かが責任を取ってくれるわけではありません。なので、両親や意見をくれた方々には感謝しつつも、自分の道を進むことにしました。起業して社会により良いものを提供することで、恩返しできるとも思っていましたね。今は周りの人たちも応援してくれていて、僕の会社が成長しているのを見て、温かい言葉をかけてくれることが多いです。
AIの受託開発から、医療分野へ
―起業のきっかけとして、AIサービスを提供するベンチャー企業でインターンシップにも参加されたことがあると伺いました1年生の後半から2年生の夏までインターンシップに参加しました。その会社ではインサイドセールスという部署で、医療分野のAIサービスを大手の病院や製薬会社などに提案する方法を学ばせていただきました。新卒で営業職として入社した人が経験するような業務の一通りを、このインターンシップで経験することができました。
学生のうちに起業するとなると、一般的なビジネスパーソンとしての社会人経験を積むことが難しくなります。営業のスキルはもちろんですが、会社の運営や働く人たちの姿勢なども間近で見ることができ、後の起業に向けて自信をつけることができた経験でした。
―創業当初はAIの受託開発をされていたということですが、そこから社会貢献性の高い医療サービスを提供するに至った経緯を教えてください
ジークスを立ち上げた時から、ゆくゆくは医療分野に事業展開していきたいとは思っており、創業メンバーもそういう志を持った人たちの集まりです。ただ、私たちは医者でもなければ医学生でもなくて、医療の現場や課題について全然わからなかったのです。だから、最初は自分たちができることとして、AIやディープラーニングの開発を受託するところから事業を始めました。それを二年ぐらいやりながら、医療業界の方々とも交流を深めて勉強しました。
何度も医療サービスのアイデアを考えてヒアリングしてはブラッシュアップする、ということを繰り返していく中で、一つだけ可能性があると思ったものがありました。それが医療に最初にアクセスするプライマリーケア領域のサービスです。体調が悪くなった時、何科を受診すればいいかわからなかったという経験はありませんか? そういう時に、気軽に相談できるアプリがあって、裏側に総合診療医がいて、アドバイスや紹介をしてくれるとしたら便利だと閃いたのが、現在のジークスが提供するサービスのコンセプトとなっています。
―現在は、子育て中の方々に向けたサービスを主軸に展開されていますよね
いろんな方々にプライマリーケアサービスについてヒアリングする中で、子育て中の方々がすごく興味を持ってくれたんです。子育て中の方々は子供の心身の健康について常に心配していることが多く、でも受診すべきか判断がつかなかったり、時間がなかったりするんですよね。一方で、小児科の先生方は子供の心身の健康に関する相談が多すぎて大変だとおっしゃっていました。親子関係や家庭環境なども考慮しなければならないため、彼らは子供だけでなく親も診なければなりません。多岐にわたる患者の悩みに対応するのに必要な時間やスキルは大変なものだと感じていました。
そこで、私たちは新たなサービスを提供することで、この両者のニーズを満たすことができると考えたのです。患者さんには適切な情報やアドバイスを提供する他、必要に応じて小児科医を紹介することで、不安を軽減する。先生方には子供のケアをサポートすることで負担を軽減する。そういう仕組みを作れば、両者にとってwin-winなサービスを提供することができます。
こうした経緯を経て、私たちの「あんよ online」はオンライン診療という形で医療サービスを提供しています。相談に答えてくれるのは現役の小児科医です。オンライン診療の時間を自由に設定できるようにすることで、例えば子育てなどを理由に現場で働くのが難しい医師でも、自宅からオンラインで診察することができます。オンライン診療では、子供の症状や様子を聞いたり、親の悩みや不安を聞いたりといったことはもちろん、必要なら処方箋も発行します。
私たちは医療の在り方について、今までの常識にとらわれないで考えることで、医療が必要な人に対して、最適な医療サービスが届くようにしたいと思っています。そのためには、AIやオンライン診療などの技術や仕組みを活用して、医療のアクセシビリティや効率性、品質を高める必要があり、その先駆けとなれるよう、努力を続けています。
学生起業家が語る、医療の未来
―今後のビジョンを教えてください私は医療の世界に挑戦しているというより、医療の世界を変えたいと思っています。ジークスのミッションは、「シンプルな仕組みで分け隔てなく最適な医療を届ける」ことです。日本の医療は国民皆保険を原則として、病気になれば国内どこの病院でも受診可能で、均一料金で適切な処置を受けることができます。その反面、慢性的に医師不足という課題を抱えています。それに加えて、医療に関する法律やステークホルダーの関係も120年ぐらい大きくは変わっていません。
私たちはこの問題に対して、AIやオンライン診療などのこれまで医療分野にはなかった技術や仕組みを使って、根本的に解決できるようなサービスを作りたいと考えています。自分のポジションにはこだわらないですが、自分のビジョンにはこだわりを持って取り組んでいきます。
次のステージについても考えていて、例えば、世界中の医療が届かない人たちにも医療を届けたいと思っていますし、医療とお金の問題も解決したいとも思っています。まだまだ案出しの段階ですが、多くの人にとって役立つサービスを提供できるよう、これまで通りメンバーをはじめ、多くの人の意見を聞きながら形にしていきます。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、起業に興味がある学生やビジネスパーソンに向けて、メッセージをお願いします
何かやりたいことがあるなら、やらない理由を探さずにやってみることが大切だと思います。やらない理由はたくさん出てきますが、やる理由は自分で見つけなければなりません。私も最初は医療分野なんて無理だと言われましたが、やりたいと言って行動したら応援してくれる人やチャンスが現れました。
まず、自分のやりたいことを身近な人に発信してみることをおすすめします。自分を後戻りできない状況に追い込むという意味もありますが、周りの人に発信し続けることで、応援者やアドバイスをくれる方々、そして志を共にする仲間が、自然と集まってくるはずです。
ジークス株式会社
2019年9月に名古屋大学・名古屋工業大学の学生によって設立。「シンプルな仕組みで分け隔てなく最適な医療を届ける」というミッションを掲げ、医療が必要な人に、必要な医療が分け隔てなく届く仕組みづくりに邁進している。