「大手メーカーに転職したいけれど難しいらしい」「自分が挑戦しても無理かもしれない…」など、大手メーカーへの転職に憧れはあるものの、不安を抱える人も多いでしょう。
確かに簡単な道ではありませんが、正しい知識と戦略があれば不可能な挑戦ではありません。
本記事では、大手メーカーへの転職が難しいといわれる理由から、求められるスキル、具体的な成功ステップまで幅広く解説します。新たなキャリアを築く第一歩を踏み出したい方は、ぜひ参考になさってください。
【この記事で分かること】
・大手メーカーへの転職は難しいといわれるが、どの年代であっても決して不可能な挑戦ではない
・大手メーカーへの転職により、高水準な収入や充実した福利厚生を得られるだけではなく、海外赴任のようなキャリア形成に役立つ経験も積める
・選ばれる人材になるためには、必要なスキルを把握し、戦略的に転職までのステップを踏むことが大切
目次
メーカーの種類・職種
なぜ大手メーカーへの転職は難しいといわれるのか?
大手メーカーには第二新卒でも転職できる?
大手メーカーへ転職するメリット
大手メーカーに「選ばれる人材」になるために必須のスキル
【年代別】大手メーカー転職の成功ポイント
大手メーカーへの転職を成功させるための4ステップ
まとめ
メーカーの種類・職種
メーカーとは、身の回りにある物(製品)の製造や販売を手掛ける企業で、以下のようにさまざまな種類があります。
・自動車メーカー
・飲料・食品メーカー
・医薬品メーカー
・日用品・化粧品メーカー
・重工メーカー
・化学メーカー
・半導体メーカー
またメーカーには多様な職種があり、業務内容も大きく異なります。
| 職種 |
業務内容 |
| 営業 |
顧客に商品の提案・販売をする |
| バックオフィス |
人事・経理・法務・知財など、企業の運営を担う |
| マーケティング・広報 |
市場調査や宣伝広告により製品が売れる仕組みを作る |
| 研究開発 |
製品や技術の研究・開発を行う |
| 購買・調達 |
原材料の安定調達やコスト管理を担う |
| 生産 |
製品の製造、生産ラインの管理、品質維持をする |
なぜ大手メーカーへの転職は難しいといわれるのか?

大手メーカーへの転職が難しいといわれる具体的な理由は以下の通りです。
・競争率が高いから
・専門性の高い知識・スキルが求められるから
・企業文化に合う人材が求められるから
それぞれ解説します。
競争率が高いから
安定した経営基盤があり、知名度も高く、高額な給与や充実した福利厚生が期待できる大手メーカーは、転職希望者にとって憧れの対象です。一つの求人に対して、数百人が応募することも珍しくありません。
また大手メーカーの多くは現在でも新卒一括採用により、社内で時間をかけて人材を育成する文化が根付いています。そのため中途では採用の枠自体が限られています。
専門性の高い知識・スキルが求められるから
メーカーの主要業務は製品の開発や生産です。通常の製品だけではなく、特定の企業向けに特化した製品を手掛けることもあるため、高度な専門知識や技術が必要です。
特に研究・開発・設計に携わる技術系職種では、関連学位や資格の他に、実務経験も重視されます。異業種や未経験から転職する場合、この専門性の高さが大きなハードルとなる可能性があります。
企業文化に合う人材が求められるから
伝統ある大手メーカーは、独自の企業文化や価値観を持っている傾向があります。採用活動でも自社の文化と合致する人材を求めるため、この点も大手メーカーへの転職が難しいといわれる原因の一つです。
面接では専門性だけではなく、自社の働き方や価値観にマッチする人材がどうかも評価されます。
採用側は、企業文化と適合しない人材を採用してしまうと定着率やパフォーマンスに影響が出ると考えるため、慎重な選考を行うことが多くあります。
大手メーカーには第二新卒でも転職できる?
大手メーカーには、第二新卒でも転職できます。現在は少子化が進んでいるため、大手企業であっても若手社員の採用に苦労していることが少なくありません。大手メーカーを含むさまざまな業種で、第二新卒の採用が積極的に行われています。
第二新卒はある程度の社会人経験があるため、新卒に比べて育成コストを抑えやすいこと、また若さと体力があり、スキルの吸収力も高く、企業文化にも早く馴染む傾向があることも評価されています。
大手メーカーへ転職するメリット
大手メーカーへの転職で期待できるメリットは以下の通りです。
・将来的な高年収が期待できる
・労働環境が比較的整っている
・国際的な経験が積める
・長期的なキャリア形成ができる
・社会的な安心感がある
それぞれ詳しく解説します。
将来的な高年収が期待できる
人事評価制度の整っている大手メーカーでは、職種や役職などのポジションに応じた高い年収を得られる可能性が高いです。技術職や研究職のような専門職では、スキルや資格に応じて給与が上がることもあります。
大手メーカーの年収が高い理由は、景気に左右されない安定した事業基盤を持ち、高付加価値製品を製造しているため、利益を社員に還元しやすいためです。また充実した福利厚生や成果主義の導入、専門性の評価など組織運営の方法が確立していることも理由に挙げられるでしょう。
海外駐在の機会が豊富な大手メーカーでは、駐在手当により年収が大きく上がる点も魅力です。
労働環境が比較的整っている
上述した通り、大手メーカーの多くは安定した経営基盤を持つだけではなく、福利厚生が充実しており、ポジションに応じて高額の給与や複数回のボーナスが期待できます。
福利厚生では、完全週休2日制(土日祝休み)、年間休日120日以上、残業少なめなど、働きやすい環境が整っていることが多いです。育児休暇や介護休暇、転勤休暇、生理休暇など、各種休暇が充実している企業も多く、将来的な生活環境の変化にも対応しやすいでしょう。
また労働組合が設けられていれば、賃上げや待遇改善の要求も通りやすくなります。
国際的な経験が積める
海外に事業を展開している大手メーカーでは、海外出張や現地に駐在する機会も多いです。海外で仕事をすると異文化での経験を積めるだけではなく、国際的な視野が広がり、世界各国に人脈を築くこともできます。
また英語力の向上や環境への適応能力、問題解決能力、ストレス耐性などの向上も期待できます。多様なスキルを身に付けられるため、将来的な昇進やキャリア形成に有利に働きやすいです。
長期的なキャリア形成ができる
長期的なキャリア形成ができる点もメリットの一つです。
大手メーカーで経験を積むことで、より複雑なプロジェクトに関わったり、マネジメント業務を任されたりとキャリアアップのチャンスが広がります。結果が評価されれば管理職への道も開けるでしょう。
また大手メーカーで働けば、専門知識や問題解決能力、グローバル対応力など、さまざまなスキルを身に付けることもできます。これらの能力はあらゆる業界で武器となるため、将来的にキャリアチェンジをする上でも役立ちます。
社会的な安心感がある
ネームバリューのある大手メーカーへの転職は、周囲からの社会的な安心感や信頼を得やすい点も魅力です。雇用が安定しており年収も高いため、自動車や住宅などの高額ローンも組みやすく、将来的な生活を考えたときに選択肢の幅を大きく広げられます。
大手メーカーに「選ばれる人材」になるために必須のスキル

大手メーカーに選ばれる人材になるためにも、身に付けておきたい必須のスキルがいくつかあります。
・職種別の専門スキル
・コミュニケーションスキル
・語学力
・ITスキル
それぞれ具体的に解説します。
職種別の専門スキル
大手メーカーの中途採用者は即戦力として期待されるため、応募職種と関連性の高い実務経験の有無が重視されます。職種別に身に付けておきたい専門スキルは以下の通りです。
| 職種 |
専門スキル |
| 技術・研究開発・設計職 |
該当分野での実務経験、専門知識、関連資格(例:電気主任技術者、CADスキル) |
| 製造・生産管理職 |
現場経験、改善活動の実績、トヨタ生産方式やリーン生産方式などの生産管理手法の知識、ISO9001やIATF16949といった品質マネジメントシステムの知識 |
| 営業職 |
法人営業経験や技術的な理解、営業成績や数字で示せる実績、新規顧客開拓能力、既存顧客との関係構築力 |
| 管理部門(総務・人事・経理) |
会計知識、財務分析、製造業特有の原価計算・在庫管理(経理)、採用、労務管理、人材育成、大規模組織でのマネジメント経験(人事)、施設管理、コンプライアンス対応、リスク管理(総務) |
コミュニケーションスキル
大手メーカーは国内外に拠点があるため、さまざまな担当者や部門とのやりとりが発生します。関係者と円滑に連携し、顧客の要望を正確に把握した上で、社内外にしっかりと伝えられるコミュニケーション能力が必要です。
また複雑なプロジェクトの運用を任されることもあります。そのため効率的に管理し、発生する課題に柔軟に対応できるスキルも必要です。
管理職経験の有無に関係なく、サポート役や調整役など状況に応じて立ち回れる柔軟性も求められます。
語学力
グローバルに事業を展開する大手メーカーへの転職を希望する場合、一定以上の語学力があると大きな強みになります。
海外に拠点がある企業では現地スタッフとの連携に加え、外国人スタッフとの協働も求められます。そのためビジネス英語でのコミュニケーション能力が必須となることも少なくありません。採用基準にTOEICのスコアや英語を使った実務経験が求められるケースもあるため、志望する場合は早めに準備を始めましょう。
海外駐在の機会も多いため、海外で実際にビジネスをした経験がある人や、留学などで異文化への対応能力を身に付けている人は高く評価されやすいです。
ITスキル
大手メーカーでも、AIやIoTなどのデジタル技術の活用により、業務改善や新規事業を創出するデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいます。DXを推進できるITスキルや関連知識を持った人材は転職でも有利になりやすいです。
具体的には、データ分析ツールの使用経験やAI、IoT、クラウドなどの知識があるとよいでしょう。エンジニアであればPythonやSQLなどのプログラミング言語のスキルも標準的な要件になりつつあります。希望する企業があれば事前にその企業が求める必須言語を確認しておきましょう。

【年代別】大手メーカー転職の成功ポイント
大手メーカーへの転職を成功させるポイントは、求職者の年代により異なります。
・20代向けの転職ポイント
・30代向けの転職ポイント
・40代以上向けの転職ポイント
以下で詳しく見ていきましょう。
20代向けの転職ポイント
20代の場合、メーカーへの転職は他の年代と比べると比較的挑戦しやすいとされています。若手ならではの柔軟性や意欲を全面に出せるため、業界未経験での採用も期待できます。
自己PRでは、若さと柔軟性、学習意欲、成長へのポテンシャルを前面に出すのがポイントです。なお基本的な業界知識は必要となるため、事前に習得することが大切です。
また自分の経験や知識、スキルの中で業務に役立つものは、具体的にアピールしましょう。例えば大手メーカーが求めているスキルと、自分が大学で学んだ専門分野が近い場合は、それが大きなアピールポイントになります。
さらにアルバイトや前職でコミュニケーション能力や問題解決能力など、汎用性の高い能力を身に付けたのなら、その点もアピールできます。営業などの職種経験があれば、それも生かしましょう。
社会人経験1〜3年の第二新卒なら「第二新卒枠」の求人があるため、積極的に応募するのがおすすめです。
30代向けの転職ポイント
30代で大手メーカーへの転職では、これまでのキャリアと専門性を生かせるかどうかがポイントです。30代となると、即戦力として組織に貢献できるのかどうかが問われるため、どのような付加価値を提供できるのか、明確に示せるよう準備しましょう。
関連業界での5年以上の実務経験や、専門性の高い技術・ノウハウ、具体的な成果や実績を示せるかが成功を左右する鍵です。
なお、30代後半になるとチームリーダーやマネージャーなどのマネジメント経験も重視されます。未経験業界への転職は20代と比べ難しくなるため、経験を生かせる領域を狙いましょう。
40代以上向けの転職ポイント
40代以上になると、大手メーカーに限らず転職が難しくなります。この年代で転職を目指す場合、管理職としての採用が期待されるものの、多くの企業では管理職のポストは内部昇進により埋めるため、外部からの採用枠は限られています。
しかし転職が不可能なわけではありません。40代以上であれば、管理職としての実績、これまでの業務で培った豊富な経験、高い専門性のアピールが重要になります。海外新規市場の開拓など、メーカーが力を入れている部門に深く関与できるスキルや経験があると、担当者に注目されやすいでしょう。
豊富な人脈があるなら、それらを活用し転職活動を進めるのも一つの方法です。
大手メーカーへの転職を成功させるための4ステップ
大手メーカーへの転職は難易度が高いため、次の4つのステップに従い戦略的に進めましょう。
1.自己分析とキャリアプランの明確化
2.業界・企業研究
3.応募書類の作成
4.面接対策
次で一つずつ解説していきます。
1.自己分析とキャリアプランの明確化
まずは自己分析を徹底し、キャリアプランを明確化しましょう。
転職先を「憧れているから」「なんとなく良さそうだから」などのイメージだけで決めるのは危険です。まずは自分の興味・やりがい・どのような成果を上げたいかを考えてみましょう。
また面接では、経験や知識・スキルを志望先企業の業務にどのように生かせるかを具体的にアピールすることが大切です。これまでの業務で得た資産を棚卸しして、しっかり精査しましょう。
特に以下のスキルは、異業種であっても高く評価されます。
・プロジェクト管理能力
・分析力
・問題解決能力
・顧客折衝経験
・チームマネジメント経験
スキルの棚卸しと併せて、入社後の目標や具体的な貢献方法を整理し、採用面接で自信を持って伝えられるように準備しましょう。
業界へのこだわりが特にないのであれば、化学・素材メーカー、BtoBメーカーは比較的転職の難易度が低いとされるため、これらの業界を選ぶのも方法の一つです。
2.業界・企業研究
自己分析が一通り終わったら、次に業界・企業研究に進みましょう。大手メーカーへの転職を目指す場合は、まず自分がどの業界に行きたいかを考え、その上でそれぞれの業界における年収や労働環境について詳しく調べることが重要です。
まずは大手メーカーにはどのような業界があるのか、その主な種類を確認しましょう。併せて、メーカー系企業がどのようなビジネスモデル(BtoBかBtoCか)を採用しているのかを調べることが大切です。
応募する企業の候補を絞り込んだ後は、以下を徹底的に調べましょう。
・応募企業の製品
・製品の持つ強み
・顧客層
・企業の持つ技術や強み
・競合他社との違い
面接でこれらの内容を明確に伝えれば、応募先の企業だけではなく、業界や競合他社についても十分に理解していることを示せます。
情報収集では、決算資料の分析やIR情報の確認に加え、競合他社との比較も有効です。また業界専門メディアを定期的にチェックしておくことで、面接で最新の業界動向を尋ねられた際にも、的確に答えやすくなります。
さらに現場に近い情報が知りたい場合は、企業説明会に参加して直接話を聞いてみるのがおすすめです。併せて社員による口コミが掲載された転職サイトを活用するのもよいでしょう。
3.応募書類の作成
応募したい企業を絞り込んだら、応募書類を作成します。その際は、採用担当者の心に残る印象的な職務経歴書や履歴書を作ることが大切です。採用担当者のもとには、毎日多くの応募書類が届きます。他の候補者と大きな差がなければ、書類選考ではじかれることもあります。
応募書類に書くスキルや実績は、詳細かつ端的に記載しましょう。例えば具体的な数値や成果があれば、それらを記載した上で、図やグラフを使って可視化するとインパクトを与えられます。
また自己PRを作成するときは、応募先企業が求めるスキルセットや価値観を反映しましょう。自分がその企業の業務内容にどのように適しているかを、分かりやすく伝えるのがポイントです。
20代や第二新卒の転職では、ポテンシャルや学習意欲をアピールしましょう。具体的には、以下のポイントを掘り下げてアピールすることが大切です。
・ポータブルスキル:パソコンスキル、語学力、目標達成思考など
・ヒューマンスキル:コミュニケーション能力、共感力など
・テクニカルスキル:専門知識や技術、ビジネスマナーなど
自己PRの書き方は以下でも詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
>>転職における自己PRの書き方を例文付きで解説!弱みを強みに変える方法とは
4.面接対策
応募書類を出し終えたら、面接対策に進みます。面接対策では、具体的な志望理由に加えて、その企業の製品や技術、企業理念に対して自分がどのように共感しているかをしっかりと伝えるようにしましょう。「大手で安定しているから選んだ」などの一般的な回答は好ましくありません。
例えば「キャリアアップをしたい」「専門性を向上させたい」といった前向きな動機を強調し、その上で応募先企業を選んだ理由を明確に伝えることが大切です。
大手メーカーの面接では、あなたの能力が自社でどのよう役立つかを評価されます。スキル・知識は数字や具体的な事例を挙げて説明し、志望する部署や職種でどのように生かせるのかを明確に伝えましょう。
また質問に対する回答を掘り下げて聞かれることもあります。そのため、事前に質問と答えを整理した問答集を用意しておくとよいでしょう。その際は自問自答を繰り返すだけではなく、転職エージェントのようなプロに質問内容を深掘りしてもらうのも有効な方法です。
さらに、応募先企業でのキャリアパスを具体的にイメージした上で、現実的で意欲的なビジョンを述べることも大切です。
まとめ
大手メーカーへの転職は難しいといわれています。しかし考え方を変えれば、それは挑戦しがいのある目標ともいえます。しっかりとした戦略と準備を重ねれば、転職のチャンスをつかみ、道を開くことも可能です。
本記事で解説した必須スキルや具体的なステップを参考に、自信を持って大手メーカーへの転職に向けた一歩を踏み出しましょう。
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