新入社員の方の中には「新卒で入社したばかりだけど、もう辞めたい……」「すぐに辞めるのはありなのかな?」といった悩みを抱えている方もいるでしょう。かつては早期離職について「忍耐力がない」「甘え」と見なされることもありましたが、近年は「状況によってはすぐに辞めることも選択肢の一つ」という考えが定着しつつあります。
ただし、早期離職にはメリットだけではなくデメリットもあるため、両方をよく理解した上で、慎重に検討することが大切です。
本記事では、新卒が「すぐ辞めたい」と思ったときに実行したいことや、すぐに退職を検討した方が良いケースとそうでないケース、新卒で早期離職するメリット・デメリット、新卒で転職に成功するためのこつをまとめました。
目次
結論:すぐに辞めてもよいケースもある
「すぐ辞めたい」と感じたらまず実施したいこと
すぐにでも退職を検討した方が良いケース
一度立ち止まって考えた方が良いケース
新卒で早期離職するメリット・デメリット
退職を決意したら|転職成功への4ステップ
まとめ
結論:すぐに辞めてもよいケースもある
新卒での早期離職について、結論から言うと、状況によってはすぐに辞めてもよいケースもあります。自分だけで解決できない問題を抱えているにもかかわらず、我慢して働いていると心身の健康や今後のキャリアなどに悪影響を及ぼす可能性があるためです。
実際に、厚生労働省が発表している新規大卒就職者の事業所別離職状況によると、令和3年3月卒で3年目までに辞めた人の割合は34.9%にも上っており、早期離職に対する抵抗が少なくなっている現状がうかがえます(※)。
ただし、勢いだけで早期離職すると、次の転職が難しくなったり、収入が途絶えて生活に困ったりする可能性があります。まずは、なぜ今の仕事を辞めたいと思ったのかを冷静に分析し、本当に辞めるべきか否かをきちんと見極めることが大切です。次章以降では、その判断基準について説明します。
※参考:厚生労働省.「新規大卒就職者の事業所別離職状況」.(参照2025-07-04)
「すぐ辞めたい」と感じたらまず実施したいこと
新卒で「仕事をすぐ辞めたい」と感じたときは、まず以下の2点を実践してみましょう。
退職理由を具体的に書き出してみる
なぜ仕事をすぐ辞めたいと考えたのか、その理由をノートなどに具体的に書き出してみましょう。漠然とした辞めたい気持ちだけで先走ると、退職してから後悔する可能性があるためです。
仕事をしていて、いつ・どのようなことに不満を感じたのか、どういうところにストレスを感じているのか、などを具体的に書き出していくと、辞めたい理由が可視化できます。できれば、不満を感じた理由を人間関係・仕事内容・労働条件・キャリアパスなど複数のカテゴリに細分化して整理すると、自分が職場に何を求めているのかに気付くきっかけになります。
その問題は今の会社で解決できないかを検討する
辞めたい理由について書き出したら、その不満や問題が今の会社で解決できないかを検討しましょう。例えば業務内容に不満があるのなら他部署への異動届を出す、人間関係に問題があるなら上司や人事に相談するなどの方法が考えられます。
現在の会社で解決の手立てがあるのなら、焦って転職する必要はありません。自分でやれるだけの対策を講じてみて、それでも問題が解決しない場合は、改めて転職を検討してみると良いでしょう。
すぐにでも退職を検討した方が良いケース
自分で問題を解決できるのなら、一度立ち止まって退職を考え直すのも選択肢の一つです。その一方で、心身やキャリアに悪影響を及ぼす場合など、すぐにでも退職を検討した方が良いケースもあります。
ここでは退職を検討すべきケースを3つご紹介します。
心身の健康に不調を来している
よく眠れない、食欲が湧かない、涙が止まらない、体調不良が続いているなど、心身に何らかの不調を来している場合は、すぐにでも退職を検討しましょう。
心身のバランスが大きく乱れると、回復までに長い時間を要するケースもあります。必要なら休職制度を利用したり、専門医に相談したりして、心身の健康を保つことを優先させましょう。
企業のコンプライアンスに重大な問題がある
職場でパワハラやセクハラがある、法の規制を超えた長時間労働が常態化している、サービス残業が当たり前になっているなど、コンプライアンスに重大な問題がある場合は、早急に退職を検討しましょう。
これらの問題は、個人の努力だけで改善するのは難しいのが現実です。心や体をすり減らしてしまう前に、「環境を変える」という選択肢を持つことも、自分を守るうえでとても大切です。
入社前に聞いていた条件と著しく異なる
求人案件や採用面接などで提示された労働条件と、実際に入社した後の労働条件に著しい差がある場合も、退職や転職を考える理由の一つです。
例えば、地元勤務と聞いていたのに他県の事業所に配置された、事務職を希望していたのに営業職に回された、などがあります。労働条件の著しい違いは、会社と従業員の信頼関係を大きく損ねる要因です。今後勤めている間にも同様の仕打ちを受ける可能性が高いことを考慮すると、早期離職を検討した方が良いでしょう。
一度立ち止まって考えた方が良いケース
ここまで新卒で退職した方が良いケースを説明しましたが、一度立ち止まって考え直した方が良いケースもあります。一時的な感情で退職すると転職先でも同じ失敗をする可能性が高いため、本当に退職すべきかどうかはじっくり考えましょう。
ここでは退職について一度考えた方が良いケースを3つご紹介します。
「思っていたのと違う」という漠然としたギャップ
入社前に抱いていたイメージとのギャップは、多くの新卒が大なり小なり感じるでしょう。どの会社にも良い面、悪い面の両面があるため、漠然とギャップを感じる程度なら、今の環境でもう少し頑張れないか、一度考えてみた方が良いでしょう。
人間関係の悩み「だけ」が原因
仕事内容や待遇には特に不満がなく、特定の方と相性が悪い、苦手な方がいるなどの人間関係の悩み「だけ」が原因の場合は、退職するのは早計です。人間関係の悩みはつらいものですが、必ずしも転職しないと解決できないとは限りません。部署の異動を相談してみる、相手との接し方を変えてみるなど、今の環境の中でも状況を和らげる工夫ができることもあります
ただし、パワハラやセクハラなどで心身に何らかの支障を来すような場合は、我慢のレベルを超えているため、退職を検討する理由になります。
やりたいことが不明確で、転職の軸がない
やりたいことがまだはっきりしていないまま転職活動を始めてしまうと、入社後に「また同じように悩んでしまう…」という状況に陥ることもあります。もし今、キャリアの方向性に迷いがあるなら、焦らずに現職で経験を重ねながら、自分の興味や得意なことを少しずつ見つけていくのも方法の一つです。
新卒で早期離職するメリット・デメリット
新卒の早期離職には、メリットとデメリットがあります。両方を客観的に理解した上で、自分にとってメリットが大きいと感じたら早期離職を検討しましょう。
ここでは新卒で早期離職するメリット・デメリットを紹介します。
早期離職のメリット
新卒が早期離職するメリットは大きく分けて主に以下の4つです。
・第二新卒としてポテンシャルを重視した求人に応募できること
・未経験の業界・職種に挑戦しやすいこと
・職場が原因のストレスから解放され、心身の健康を取り戻せること
・早いうちにキャリアの方向性を変えられること
新卒は若く、柔軟性に長けているため、新しい職場に早くなじめる強みがあります。その柔軟性やポテンシャルの高さを評価して、入社1~3年目の第二新卒を積極的に採用する企業は近年増加傾向にあります。
また新卒は特定の業界や企業の慣習に染まりきっていないため、転職先の社風や働き方にもなじみやすい点も、新卒ならではの強みといえるでしょう。
早期離職のデメリット
早期離職する場合、主に以下の3つのデメリットが想定されます。
・スキルや実績が乏しく、アピール材料が少ないこと
・キャリアの成長や人脈の構築などが不十分なこと
・すぐに辞めると思われる可能性があること
早期離職した新卒は社会人経験が浅いため、転職活動でスキルや実績をアピールするのは困難です。そのため、志望動機や働く意欲などを強調し、面接に挑む必要があります。
また短期間で転職を繰り返すと「すぐに辞める人」と思われてしまい、転職活動がどんどん不利になってしまいます。だからこそ、次の職場選びでは、自分の価値観や大切にしたい働き方を整理して「長く働けそうかどうか」という視点を持って判断していくことが大切です。
退職を決意したら|転職成功への4ステップ

退職を決意したら、転職のための準備を開始しましょう。無計画に転職活動を始めると失敗するリスクが高くなるため、必要な準備と大まかな流れを把握しておくことが大切です。
ここでは転職成功のためのステップを4つに分けて説明します。
Step1. 在職中に転職活動を始める
現職を退職してから転職活動を始めると、収入が途絶えて生活面が苦しくなったり、キャリアにブランクが空いたりする可能性があります。焦って転職活動を行うと失敗する可能性が高くなるため、心身に不調を来していないのなら、在職中に活動を始めるのがおすすめです。
Step2. 自己分析でキャリアの軸を再設定する
最初の就活を振り返って失敗した理由を深掘りするとともに、次はどうしたいのかを考え自己分析をすることで、キャリアの軸を再設定します。現職への不満を基に、自分にとって譲れない条件(勤務地や待遇、やりがい、キャリアアップなど)を洗い出していけば、新しい職場探しでのミスマッチを防げます。
Step3. 第二新卒の強みを生かす書類作成
新卒は社会人経験がまだまだ浅いですが、その中で学んだこと、習得したスキルについて、履歴書や職務経歴書にできるだけ具体的に記載します。企業側も経験や実績が浅いことは理解しており、中長期的な戦力となることを期待しているため、仕事への真摯な取り組み方やポテンシャルが大きい点を積極的にアピールすると良いでしょう。
Step4. 面接で退職理由をポジティブに伝える
新卒の転職採用では退職理由を尋ねられることがほとんどですが、その際にできるだけポジティブな表現を用いることが大切です。
「他にやりたいことができた」「適切な評価をしてもらえる職場で働きたい」など、前向きな姿勢を見せましょう。退職理由に説得力があれば、またすぐ辞めるのでは? という懸念を払拭でき、採用される確率がアップするはずです。
転職理由の詳しい伝え方については、以下の記事もご確認ください。
採用担当を納得させる『転職理由』の伝え方
転職エージェントを賢く利用するのもおすすめ
一人きりで転職するのが不安なら、転職エージェントを利用するのもおすすめです。転職エージェントを利用すると、プロのキャリアアドバイザーが自己分析や求人探し、書類の添削、面接対策などを徹底的にサポートしてくれるため、スムーズに転職活動を進められます。
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まとめ
新卒であっても、自分で解決できない問題に直面していたり、心身に不調を来したりしている場合は、すぐに辞めた方が良い場合もあります。まずは辞めたいと思った理由を自己分析し、今すぐ辞めるべきか否かを冷静に見極めましょう。一時の感情ではなく、きちんと考えた上で出した答えなら、早期離職を選んでも現職に留まっても、前向きな一歩になるはずです。
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