院卒で就職した方の中には「思っていたのと違った」「待遇や人間関係に不満がある」などの理由で早期退職を検討している方も少なくありません。
しかしその一方で「大学院まで卒業したのに、早期退職を考えるなんて…」「院卒の経歴って第二新卒の転職で有利になるのかな」といった不安を抱え、人知れず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
院卒の第二新卒は、専門性と社会人経験を併せ持つユニークな人材と見なされるため、転職活動では有利に働くことがあります。
本記事では、転職を考えている院卒の第二新卒者向けに、院卒ならではの強みや魅力、転職を考えるべきタイミングと、事前に知っておきたい壁、転職を成功させるコツをまとめています。自信を持って新たなキャリアを設計するために、ぜひ参考にしてみてください。
【この記事で分かること】
・院卒でも、卒業後に正社員として就職して3年以内であれば第二新卒扱いになる
・院卒の第二新卒は、若さとポテンシャルの高さに加え、専門的な知識・スキルを期待される
・院卒ならではの強みや魅力を洗い出し、20代専門サイトを使いながら計画的に活動を進めていくのがポイント
目次
院卒は第二新卒になれる?
院卒の第二新卒の魅力
院卒の第二新卒が転職を考えるべきタイミング
院卒の第二新卒転職ならではの「壁」
院卒の第二新卒転職を成功させる5つのコツ
まとめ
院卒は第二新卒になれる?
「院卒って第二新卒になれるの?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、結論から先に言うと、大学院卒でも第二新卒として転職活動を行うことが可能です。
そもそも第二新卒とは、一般的に学校を卒業してから正社員として就職後、3年以内の人を指す言葉です。直前の学歴そのものは関係ないため、大学院出身でも、卒業後3年以内という条件を満たしていれば第二新卒として扱われます。
例えば大学に現役合格し、留年や休学をすることなく大学院へ進んだ場合、修士課程(2年)修了時は24歳、博士課程(3年)修了時は27歳になります。そこに0(数カ月)~3年を加算するため、院卒で第二新卒が適用されるのはおおよそ24歳~30歳となるでしょう。
院卒の第二新卒の魅力

院卒の第二新卒は、大卒の第二新卒よりもスタート時点の年齢は高くなりますが、以下のように院卒ならではの強みや魅力があります。
・専門的な知識と実践的なスキル
・基本的なビジネススキル
・高いポテンシャルと成長意欲
・柔軟性と将来性のバランス
ここではそれぞれの魅力について深掘りしていきます。
専門的な知識と実践的なスキル
院卒の人は、大学院での研究活動の中で課題に取り組み、調査や仮説検証、プレゼンテーションなどを一通り経験しているため、高度な専門知識と実践的なスキルを有している場合が多いです。実践的なスキルの具体例には、課題設定力や論理的思考力、情報収集能力、問題解決能力などが挙げられます。
これらのスキルは汎用性が高く、業界や職種をまたいで、実務でも役立つ人材として評価される傾向にあります。
また研究プロジェクトの中でリーダーを担ったり、チームの一員として貢献したりした経験がある場合も、リーダーシップやコミュニケーション能力がある人材と見なされ、転職活動で有利になる可能性があるでしょう。
基本的なビジネススキル
院卒に限った話ではありませんが、第二新卒は一度企業に正社員として入社した経験があるため挨拶や電話応対の仕方、名刺の渡し方、メールの送り方など、ビジネスパーソンが習得しておくべき基本的なマナーやスキルが既に身に付いています。企業にとっては、マナーや初歩的なスキルを教える手間とコストをカットできるため、採用を省エネ化できるという利点があります。
高いポテンシャルと成長意欲
社会人経験が浅い第二新卒は、特定の企業の文化や社風に染まっていない分、新しい環境にも柔軟に対応できる人材だと見なされます。早いうちから職場に馴染めば、より短期間で戦力となる人材に育つ可能性があるため、企業から将来性を期待されることも多いでしょう。
また院卒者は研究活動を通じて自ら学び、思考する姿勢が身に付いているため、業務に必要な知識・スキルを自発的に習得しようという意識が強い傾向にあります。成長への意欲と目標を達成するための実現能力は、ビジネスにおいて必要不可欠なため、将来有望な人材として積極的に採用する企業も多いです。
柔軟性と将来性のバランス
20代はビジネス界においてまだまだ若手であり、新しい環境にも比較的すぐに馴染めるような、柔軟性のある人が多いです。
学部卒の第二新卒者と比べると院卒の第二新卒者の年齢はやや高めですが、他のポジティブな要素で補うことができるでしょう。例えば一つのことにきちんと取り組む集中力の高さや、多角的な視点からのアプローチなど、前述してきた通り、大学院での研究活動を通じて培った力でカバーできると判断されることもあります。
若さならではの柔軟性を備えつつ、実務に役立つスキルも有している院卒の第二新卒は、企業にとってバランスの良い人材として評価されるでしょう。

院卒の第二新卒が転職を考えるべきタイミング
卒業後、3年以内に早期離職を検討することに抵抗がある方もいるかもしれませんが、以下のようなケースでは転職を考えるのも手です。
・専門性や研究内容とのミスマッチを感じる
・大学卒と給与などの待遇が同等
・現職でのキャリアの限界を感じる
ここでは、院卒の第二新卒が転職を考えた方が良いタイミングについて詳しく説明していきます。
専門性や研究内容とのミスマッチを感じる
せっかく大学院で専門性の高い知識やスキルを身に付けたにもかかわらず、今の職場ではそれを十分に生かしきれないと感じるなら、転職を検討する大きな理由になるでしょう。
自分の持つ専門性や、これまで行ってきた研究の内容を生かせる職に就きたいと考えるのはごく自然なことです。やりがいのある仕事に従事すれば、今後より良いキャリアプランを築いていくチャンスも広がるはずです。
大学卒と給与などの待遇が同等
院卒者は学部卒者に比べると専門性の高い知識・スキルを有していることから、企業への貢献度も高いと期待されます。もし待遇が学部卒者と同じであれば、不満を感じるのも無理はないでしょう。
同期の大卒者の待遇と比較して同等、あるいはほとんど差がない場合は、院卒ならではの強みや魅力を正当に評価してくれる企業に転職した方が、やりがいやモチベーションもアップする可能性があります。
現職でのキャリアの限界を感じる
今の職場ではこれ以上の成長やキャリアアップを見込めないと感じた場合も、転職を検討するタイミングです。
例えば、希望の部署に配属されずスキルアップの機会が少ない、一定の年齢まで昇進できないなど、キャリアプランに悪影響を及ぼす要素があれば、早めに転職した方がキャリアの停滞を防げるでしょう。

院卒の第二新卒転職ならではの「壁」
院卒の第二新卒には強みや魅力がある一方で、転職活動では以下のような壁が立ちはだかることもあります。
・専門性に対する企業側の誤解や期待値とのギャップ
・年齢の壁と実務経験の少なさ
・即戦力の中途採用との比較
転職活動のリスクを事前に把握し、然るべき対策を講じておきましょう。
ここでは院卒の第二新卒転職で直面しやすい課題について詳しく解説します。
専門性に対する企業側の誤解や期待値とのギャップ
院卒はその高い専門性や得意分野への知見などから、しばしば「柔軟性が乏しい」「プライドが高い」「協調性に欠けている」といった誤解を招きがちです。そのため企業や採用担当者の中には、院卒というだけで扱いにくい人材と判断し、採用を敬遠するところもあるようです。
逆に企業が院卒ならではの強みや魅力を過剰に評価した結果、期待値が高くなり「院卒なら何事も完璧に対応できるだろう」などと十分なサポートを行わないケースもあります。このような誤解や実務レベルとのギャップが、院卒の転職を妨げることも考えられるでしょう。
年齢の壁と実務経験の少なさ
院卒は学部卒に比べると2~5年ほど長く学生生活を送るため、社会人としてスタートを切るときの年齢はどうしても高くなってしまいます。
先述の通り修士号なら2年、博士号まで取得するなら5年スタートが遅れる分「年齢の割に社会経験が少ない」「キャリアが浅い」と思われることがあります。特に即戦力を求める企業では、転職活動で不利になる場合があるでしょう。
即戦力の中途採用との比較
院卒の第二新卒は、即戦力として期待される中途採用者と年齢が近いため、何かと比較されがちです。
中途採用者は既に、社会人としていくらかの経験や実績を積んでいるため「同じくらいの年齢なら、独り立ちまでの時間やコストを削減できる中途採用者を選ぼう」と考える企業もあるでしょう。その結果、転職のハードルが高くなる可能性があります。
院卒の第二新卒転職を成功させる5つのコツ

院卒が第二新卒として転職を成功させるためには、以下5つのコツを押さえておきましょう。
・自己理解を深める
・院卒ならではの強みを効果的にアピールする
・計画的かつ戦略的に転職活動を進める
・明確でポジティブな転職理由を準備する
・転職活動の専門サポートを活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己理解を深める
まずは自分の強みや弱み、興味・関心のある業界や職種を明確にするために自己分析を行い、自身の理解を深めるところから始めましょう。
大学院や1社目で学んできたこと・経験したことを振り返り、印象的なエピソードを箇条書きにしていくのもおすすめです。自分の長所や短所、興味のある業界、職場に求める条件などが明確になり、転職活動の軸が定まります。
分析した結果を基に、その企業にどういう形で貢献できるのかを具体化すれば、応募先探しや効果的な応募書類の作成、面接対策に役立つでしょう。
院卒ならではの強みを効果的にアピールする
院卒ならではの強みや魅力を効果的にアピールすることも大切です。
単に学んできた専門知識の内容を伝えるのではなく、研究活動を通して培ったポータブルスキルを整理して伝えられると良いです。例えば論理的思考力や問題解決力、データ分析力、プロジェクトマネジメント力など、汎用性の高いスキルを挙げ、さらに企業の事業活動にどのように寄与できるかを説明できると良いでしょう。
また院生時代に培った、高い目標に向かって努力できる勤勉さや実現能力もアピールポイントになるでしょう。転職後も学び続ける意欲を示せば、ポテンシャルの高い人材として評価され、採用でも有利に働くはずです。
計画的かつ戦略的に転職活動を進める
転職活動は、計画的かつ戦略的に進めていくことが大切です。特にポテンシャル採用を重視する第二新卒枠を狙う場合は、30歳までに行動し始めると良いでしょう。
また自分の専門知識を生かせる業種・企業を選ぶと、採用率を高められると考えられます。例えば論理的思考力や分析力はコンサルティングやマーケティングなどの業種でアピール材料となるはずです。その他、理系分野の専門知識がある場合は、ITエンジニアなどの技術職で貢献できることを説明しやすいでしょう。
ただし大学院で行った研究の内容にこだわり過ぎると、必然的に応募先の選択肢が少なくなってしまいます。研究を通して身に付けたポータブルスキルを生かせそうな業種・職種まで、視野を広げて応募先を探すのがおすすめです。
明確でポジティブな転職理由を準備する
第二新卒の採用面接で必ずといって良いほど尋ねられるのが、転職を考えた理由です。特に院卒の場合、企業側は「長い時間を掛けて専門性を磨いてきたにもかかわらず、なぜ1社目を早期に退職したのか?」という疑問を持たれやすく、退職理由を深掘りされる可能性があります。
退職理由は正直に答えなければなりませんが、ネガティブな表現を用いると「他責思考が強い」「また同じ理由で辞めるかも」といったマイナス評価につながる恐れがあります。現職での学びや反省点を踏まえ、新たな職場でどのような価値を提供できるのかをポジティブかつ明確に言い換えましょう。キャリアの一貫性を意識することも大切です。
20代向け転職サイトを活用する
院卒の第二新卒での転職活動は、新卒や大卒の第二新卒、中途採用とは異なるアプローチが必要なケースが多いため、専門的なサポートを活用するのがおすすめです。
第二新卒向けの転職サイトを利用すれば、職種・業種未経験OKの求人が豊富なため、複数の求人を見比べながら転職活動を進めることができます。セミナーやイベントなども活用することで、初めての転職で不安な部分に対して、さまざまなサポートを受けられるでしょう。
特に求人に関しては、一般には公開されていない求人も紹介してもらえることがあり、有利に転職活動を進められる可能性があります。
まとめ
院卒の第二新卒は転職市場において、若さとポテンシャルを備えつつ、高い専門性も併せ持つユニークな人材と認識されています。
本記事で紹介した院卒ならではの強みや魅力を生かしながら、成功のコツを押さえて転職活動に臨めば、自信を持って新たなキャリアへの一歩を踏み出せるでしょう。
一人で転職活動を行うことに不安を感じたり、院卒ならではの強みや魅力の洗い出しに悩んだりしたときは、第二新卒の転職に特化したサイトで、情報収集をしてみましょう。
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