「新卒なのに、もう仕事を辞めたい…」このように感じることは甘えではなく、多くの新卒で入社した人が抱える悩みの一つです。しかし、辞めたいという感情に任せて行動すると、後悔につながったり、後のキャリアに悪影響を及ぼしたりする恐れもあります。少し立ち止まって、どのような選択肢があるかを確認しましょう。
本記事では、新卒で仕事を辞めたいと思っている方に向け、後悔しないための考え方や、具体的な行動計画まで網羅的に解説します。
目次
「新卒で辞めたい」は甘えではない!よくある5つの理由
勢いで辞める前に! まず考えるべき3つのこと
【要注意】すぐにでも辞めた方が良い危険なサイン3つ
辞める?続ける?それぞれのメリット・デメリット
辞める決断をした人が知っておきたい2つのこと
会社を辞めたいと思ったら誰に相談するべき?
まとめ
「新卒で辞めたい」は甘えではない!よくある5つの理由
新卒で「仕事を辞めたい」と思うのは、決して珍しいことではありません。また多くの場合で会社を辞めたい理由は共通しており「甘え」の一言で片付けられないこともあります。まずは、自分自身の状況と照らし合わせて、会社を辞めたい理由を確認してみましょう 。
・【理由1】入社前に聞いていた話と違う
・【理由2】職場の人間関係がうまくいかない
・【理由3】仕事内容が自分に合っていない
・【理由4】労働環境が悪すぎる
・【理由5】会社の将来性や風土への不安
【理由1】入社前に聞いていた話と違う
入社前に聞いていた社風や仕事内容など、イメージしていたものと現実に大きな差があると、戸惑いから辞めたいと思うこともあります。なお「営業職で採用されたのに、事前の説明なく事務職に配属された」といった場合は、企業側が労働者に対し、労働条件を明示する義務を果たしていない可能性があります(※)。こうしたケースでは、労働契約書や内定通知の内容を確認し、必要に応じて専門機関へ相談することが大切です。
※e-Gov法令検索.「労働基準法」.“第十五条”. ,(参照2025-07-18)
【理由2】職場の人間関係がうまくいかない
仕事で分からないことを相談しようにも、上司や先輩の機嫌が悪く質問できない。このように、人間関係が悪いと会社に行くこともストレスになる可能性があります。周囲とのコミュニケーションが困難だと、社内になじめず孤独感が強まり、辞めたいと思ってしまうでしょう。
【理由3】仕事内容が自分に合っていない
仕事内容が自分に合っていないと感じることも、仕事を辞めたいと感じやすい理由の一つです。単純作業の繰り返しでやりがいを感じられなかったり、興味のない分野の仕事でモチベーションが上がらなかったりする状況が続くと、働く意義を見失ってしまい、転職を考えるきっかけになりやすいでしょう。
【理由4】労働環境が悪過ぎる
残業や休日出勤が常態化しており、プライベートの時間が全く取れない、給与の支払いや評価制度に不透明な部分が多いなど、労働環境が劣悪な場合は、辞めたいと思っても仕方がありません。こうした環境で働き続けると、心身の不調やモチベーション低下につながり、キャリア形成にも悪影響を及ぼすリスクがあります。
【理由5】会社の将来性や風土への不安
会社の業績が悪化の一途をたどっているなど、将来性の不安から退職を考えるケースもあるでしょう。また古い価値観の押し付けや体育会系の雰囲気など、社風になじめないことも、辞めたいと感じる要因の一つです。
勢いで辞める前に! まず考えるべき3つのこと
「すぐにでも今の仕事を辞めたい!」と思っても、感情や勢いのみで行動すると後悔する可能性があります。ここでは、仕事を辞める前に、自分の状況を分析するための、具体的なステップをご紹介します。
【STEP1】「なぜ辞めたいのか」本当の理由を深掘りする
仕事を辞めたいと思った理由が「一時的な不満」なのか、それとも「会社の構造的な問題」なのかを判断しましょう。一時的な不満の例としては、仕事でミスをした、上司に叱責された、などが挙げられます。一方、会社の構造的な問題は、社風の不一致などです。
【STEP2】今の会社で解決できる方法はないか探る
次に、今の会社でその悩みを解決できる方法はないかを探りましょう。一時的な不満であれば、部署移動で解決する可能性もあります。また会社の構造的な問題と思われる悩みであっても、転勤や部署異動、話し合いによって解決するかもしれません。
信頼できる先輩や上司、または人事部などに相談し、問題解決の方法がないかを探りましょう。不満や不安を相談することによって、悩みを解消するための対応をしてもらえる場合があります。
【STEP3】1〜3年後のキャリアプランを想像してみる
現在の会社で働き続けた場合と、転職をした場合、それぞれ近い将来どのような人生を歩んでいるか想像してみましょう。身に付けたいスキルやなりたい社会人像など、将来の目標が定まれば、するべきことも明確になります。
もし、今の会社で希望のキャリアプランを実現できそうなら、一度立ち止まって退職を考え直しても良いでしょう。一方、明るい未来が想像できないなら、目標を達成できるよう転職を考えるのも方法です。
【要注意】すぐにでも辞めた方が良い危険なサイン3つ
仕事を辞めたいと思う状況の中には、自分の努力だけでは改善が難しいものも存在します。ここでは、すぐにでも退職を検討すべきケースを紹介します。
心や体に不調が出ている
体が鉛のように重い、食欲が湧かない、理由もなく涙が出るなど、就職をきっかけに、普段の自分とは異なる状態になっているなら注意が必要です。それは体からのSOSのサインであり、このような状態を放置すると、精神疾患に悪化するケースもあります。
どのような仕事であっても、健康を損なってまで続ける必要はありません。すぐに辞める決断ができないときは、専門医へ相談したり、休職制度を活用したりしましょう。
ハラスメントが横行している
ハラスメントが日常的に行われている会社は、一朝一夕に状況が改善する可能性は低いでしょう。代表的なハラスメントとして挙げられるのが、個人の人格を否定するパワハラや、職場で性的な言動や行動をするセクハラ、精神的な嫌がらせをするモラハラです。
これらが横行しているなら、相談しても「社風だから」などと取り合ってもらえない可能性もあります。個人の尊厳が守られない職場からは、すぐに離れた方が賢明です。
会社のやっていることが法律違反
違法な長時間労働やサービス残業の常態化、給与の未払いなど、労働基準法やその他の法律に抵触する行為を平然と行っている会社はすぐにでも退職しましょう。コンプライアンス意識が欠如した会社に将来性はなく、摘発される可能性もあります。
もし、未払いの給与があり請求を考えているなら、タイムカードや業務日報、給与明細のコピーを取るなど、証拠を集めておくと有効です。
辞める?続ける?それぞれのメリット・デメリット

新卒で入社した会社を辞めるにしろ、続けるにしろ、どちらの場合でもメリットもデメリットも存在します。退職をする前に、自分自身の状況と照らし合わせて、多角的に判断しましょう。
【辞める場合】得られる3つの大きなメリット
新卒で入社した会社を早期に辞めることで得られるメリットは、以下の通りです。
・ポテンシャル採用で未経験の仕事に挑戦しやすい
・ストレスの原因から解放され前向きな気持ちになれる
・早い段階で軌道修正できる
早い段階で離職を決意すれば、若さや将来性を武器にして異業種にもチャレンジしやすくなります。人生設計を立て直すきっかけにもなり、これからの働き方を前向きに考える余地が広がります。
【辞める場合】知っておくべき3つのデメリット
新卒入社後、すぐに退職するデメリットは以下の通りです。
・面接で「またすぐ辞めるのでは」と懸念されやすい
・「我慢が足りない」というレッテルを貼られる可能性がある
・十分なスキルがない状態での転職活動になる
採用してもすぐにまた退職しそうだと思われる可能性が高く、面接では相応の対策が必要です。また早期退職の事実は、面接官や採用担当者からマイナス評価につながる恐れがあります。社会人としての基礎的なスキルが不十分であれば、学び直しも必要です。
【続ける場合】得られる3つのメリット
辞めたいと思っても、新卒で採用された会社で働き続けるメリットは以下の通りです。
・ビジネスマナーやパソコンスキルを習得できる
・3年勤務した経歴があれば次の転職で評価されやすい
・我慢の後に仕事のやりがいや面白さが見つかる可能性もある
新卒であれば、社会人として必要な教養を丁寧に教えてもらいやすく、ビジネススキルが身に付きやすいです。今はつらいと思える仕事でも、頑張った先にやりがいが見つかることも多くあります。なお、勤続年数が3年以上あると転職市場でも評価されやすく、次の就職がしやすいといわれています。
【続ける場合】知っておくべき3つのデメリット
辞めたいと思う会社で働き続けることで生じるデメリットは以下の通りです。
・ストレスから心身に不調を来す可能性がある
・未経験の職種や業界への転職が困難になりやすい
・成長できないまま時間だけが過ぎる恐れがある
合わない環境で我慢し続けると、やがて心身が限界を迎える恐れがあります。またモチベーションが低いまま働き続けても、思うようなスキルが身に付かないかもしれません。さらに、転職を決意する年齢が上がれば上がるほど、選択肢は減っていく可能性もあります。
辞める決断をした人が知っておきたい2つのこと
新卒で入社した会社を辞めると決断をした後は、スムーズに手続きが進むよう事前準備を進めましょう。円満退社と次のキャリアに向けた準備をする上で、必要な知識を紹介します。
【知識1】退職のタイミングと伝え方
退職をしたいと思っても、すぐにできるわけではありません。まずは就業規則を確認し、いつまでに退職の意向を伝える必要があるかを確認しましょう。一般的には、1~3カ月前に退職の意向を伝えることが多いようです。直属の上司に、事前に相談の約束を取り付け、対面で伝えるのがマナーです。
退職理由を聞かれたときは会社の不満は伝えずに「未経験の業界に挑戦したい」など、前向きな理由を伝えましょう。引き継ぎが必要であれば、後任の担当者に必要事項を資料にまとめるなどして、分かりやすく引き継ぎます。
不満があって退職するなら、上記のような丁寧な対応は不要と思うかもしれません。しかし、トラブルを起こして退職すると、同じ業界や地域であれば噂が広がる恐れもあります。円満退職を目指すことは、未来の自分のためにも重要です。
【知識2】退職前にやっておくべき準備リスト
退職直前や直後に慌てないように、事前にやるべきことをリストアップしておきましょう。一般的な内容は以下の通りです。
・引き継ぎ資料を作成する
・退職後の公的手続きを確認する
・有給日数を確認し消化計画を立てる
・これまでの業務で得たスキルを整理する
・関係者に退職のあいさつをする
退職後の公的手続きで必要になる書類は事前に確認し、漏れのないように受け取りましょう。
会社を辞めたいと思ったら誰に相談するべき?
「会社を辞めたい」と悩んだときは、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談するのも大切です。新卒で仕事を辞めたくなったときに、どのような人に相談したら良いのか、一例を紹介します。
親やパートナー、友人
親や友人は自分のことをよく理解してくれていることから、精神的な支えになる可能性があります。気持ちに寄り添い、親身になって相談に乗ってくれる場合は、相談してみると良いでしょう。
一方で、親や友人に相談すると「つらいならすぐに辞めた方が良い」など、感情的なアドバイスに偏ってしまうかもしれません。その後の転職も踏まえた意見を得るのは難しい場合もあるでしょう。
会社の先輩や上司
会社の信頼できる先輩や上司であれば、自分の状況や社内の実情をよく理解した上で、的確にアドバイスしてくれる可能性があります。場合によっては、仕事を続けられるよう、部署異動や仕事の調整など、具体的な解決につなげてもらえるかもしれません。
一方で、会社の先輩や上司に相談すると、会社に引き留められる可能性もあるでしょう。辞めたいという意思が強ければ強いほど、話がこじれやすいかもしれません。
大学のキャリアセンター
大学のキャリアセンターも選択肢の一つです。特に、卒業生のサポートを行っているキャリアセンターであれば、新卒や第二新卒の就職支援のノウハウがあり、無料で相談できる点がメリットです。
ただし、大学のキャリアセンターは学生向けの活動が中心です。退職後の転職活動を見据えて相談したいときは、転職エージェントのようなプロの方が、豊富なノウハウを持っている傾向にあります。
転職エージェント
プロに転職活動を支援してもらいたいと考えている場合は、転職エージェントへの相談を検討しましょう。転職エージェントを利用すると、キャリア形成のプロから具体的なアドバイスをもらえます。また非公開求人の紹介なども期待できるでしょう。
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まとめ
新卒で「仕事を辞めたい」と感じたときに大切なのは、その気持ちに流されて勢いで行動するのではなく、一度立ち止まって自分の状況を客観的に分析することです。
辞めることも続けることも、自分のキャリアを豊かにするための選択肢です。まずは、自分の気持ちとキャリアにじっくりと向き合い、適切な相談相手を選ぶことから始めると良いでしょう。
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