「転職の軸の見つけ方が分からない」という方も意外と多いのではないでしょうか。転職の軸を持っている方が、自分に合う求人を探しやすくなったり、入社した後のミスマッチを減らすことができたりと、メリットがたくさんあります。転職の軸とは、転職先を考える際に譲れない本質的な願望です。自己理解を深めると、転職の軸を明確にすることができます。このコラムでは、転職の軸を見つけられる自己分析法をご紹介します。
はじめに:転職の軸を見つける方法
ステップ①:希望条件を洗い出す
ステップ②:希望条件の優先順位をつける
ステップ③:その条件を希望する理由を深堀りする
まとめ
はじめに:転職の軸を見つける方法
転職の軸は、大きく3つのステップを実践すると見つけやすくなります。1つ目のステップは、「希望条件を洗い出す」ことです。2つ目のステップは、「希望条件の優先順位をつける」ことです。最後3つ目のステップは、「その条件を希望する理由を深掘りする」ことです。希望条件を大事にしたい理由が明確になると、本当の意味で、転職で実現したいことが分かるようになるからです。
ステップ①希望条件を洗い出す

ここでは、1つ目のステップ「希望条件を洗い出す」について、詳しくご紹介します。希望条件は、下の4つの内容を考えてみることで洗い出すことができます。①~④に沿って自分の希望を整理してみましょう。
①転職理由
転職理由から、自身の叶えたいことの理解を深めることができます。以下の3つのことを振り返ってみましょう。
・なぜ今転職しようと思っているのか
・今の企業を選んだ理由
・今の条件と変えたくない条件は何か
まず、以前勤めていた/現在勤めている企業の何に不満があるかを考えてみましょう。次の職場では改善できるよう、現在不満だと思っていることを具体的に言語化してみることをおすすめします。
次に、「当時は何を基準に企業を選んでいたのか」を思い出してみましょう。その選び方をしたことで、良かったこと・良くなかったことを整理できます。企業を選択した際の過去の傾向を理解しておくと、同じ失敗を防げるというメリットもあります。転職先のミスマッチを避けるためにも、今の条件と変えたくないことも振り返っておきましょう。
②職業観
2つ目は、「どのような仕事をしたいのか」、仕事内容面で叶えたいことを想像してみてください。たとえば、下の5つを考えてみましょう。
・今までの経験で活かせること/活かしたいことは何か
・仕事を通して何を実現したいのか
・どのような分野に携わりたいのか
・携わりたい分野の中で、どのような仕事をしてみたいのか
・仕事の裁量権
仕事を通して何を実現したいのかについては、すぐに決められなくても問題はありません。求人の仕事内容を見ていくうちに、徐々に自分の興味のあることも分かるようになってきます。興味があることの理解を深められると、志望動機なども書きやすくなるというメリットもあるので考えてみてください。
自分が仕事に求めているものが分からないときは、気になっている企業のコーポレートサイトにある企業理念や社員インタビューも参考にできます。「それらの企業の仕事に対する考え方」と「自分の考え方」が近しいかどうかを確認してみましょう。この作業を繰り返している内に、仕事に求めているものが見えてきます。
③待遇面
3つ目は、企業にどのような待遇を求めているのかを整理してみてださい。具体的に考えやすい項目なので、下の例に沿って自分の希望を洗い出してみましょう。
・給与
・休日数/休日形態/休暇制度
・勤務地
・残業時間
・福利厚生
・自分に合う教育制度があるか
教育制度に関しては、自分はどのように成長したいのかや、それにあたってどのような制度が必要なのかを考えてみましょう。たとえば、「早く成長したい」と思っていても、資格や充実した研修を受けることによって成長したいタイプと、現場に早くから携わることで成長したいタイプかで、教育制度に求めることも変わってきます。前者は、資格制度や研修が充実していること、後者であれば、様々なことに挑戦させてくれるOJT研修があることなどと、必要となる制度が大きく異なります。
④環境面
4つ目は、どのような職場環境で働きたいかについてです。たとえば、以下の観点から考えてみましょう。
・職場の雰囲気
・社員同士の距離間
給与や休日などの条件面だけではなく、どのような環境だと居心地が良いかなどソフトな面も考えてみましょう。職場の雰囲気とは、たとえば仕事の進め方やキャリアアップの仕方が挙げられます。仕事の進め方については、「チームで頑張ることを推奨している」のか、「個人で黙々と頑張ることを推奨している」のかなどがあります。キャリアアップの仕方については、「若手にもチャンスがある実力主義を大事にする企業」なのか、「着実にレベルアップできる環境がある企業」なのかなどがあります。
ステップ②希望条件の優先順位をつける

希望条件を把握するために、これまで様々な観点から理想とする条件を考えてきました。ただ、理想の条件全てを叶える企業を見つけることは難しいので、ステップ②では、希望条件の優先順位をつけてみましょう。これができると、自分が転職先を決める上で大事にしたいことがより明確になるので、転職の軸を見つけやすくなります。下記の手順に沿って優先順位を決めていきましょう。
優先順位のつけ方
①1章で挙げた①~④の項目の中から、転職先で叶えたい要素を挙げてみましょう。
② 転職先で叶えたい要素を絶対に叶えたいこと(MUST要素)なのか、できれば実現したいことなのか(WANT要素)に分けてみましょう。
絶対に叶えたいことを5つ選んでください。次のステップを進みやすくするために、5つ絞ってもらいましたが、必ず5つに絞る必要はありません。ここでは、転職先で叶えたい要素をMUST要素とWANT要素に整理することが大事になります。
また、MUST要素を5個選んでも、どの企業でも叶えられると感じた場合は、MUST要素を1つずつ増やしてみましょう。
ステップ③その条件を希望する理由を深堀りする

希望条件は明確になったと思います。この章では、転職の軸を見つけるための、最後のステップ「その条件を希望する理由を深堀りする」ことについて、ご紹介します。
深堀りするとは、自分の思っていることや考えていることの解像度を上げていく作業です。自分の言語化できていない考えや想いを整理できるので、転職で大事にしたい本質的なことが分かるようになります。以下で、具体的な「深堀りする方法」をご紹介します。
「なぜ」を繰り返す
1章で見てきた「絶対に叶えたいMUST要素」1つずつに、「なぜ大事にしたいのか」と3回繰り返して考えてみてください。この方法を使うと、簡単に自分の思っていることを深堀りすることができます。たとえば、④環境面にあたる、「企業の雰囲気がおだやか」というMUST要素を深堀りしてみましょう。
1.なぜ「企業の雰囲気がおだやか」が良いのかを考えましょう。
「人間関係で悩むことがないから、自分の仕事に集中できて良いパフォーマンスができる」や「自分の性格的に合っているから」という理由が出てくるとしましょう。仮に、「良いパフォーマンスに繋がるから」を選択したとします。
2.なぜ「良いパフォーマンスに繋がる」ことを大事にしているかを考えてみましょう。
その答えが「仕事で良い結果を残したいから」や「効率よく仕事を終わらせて、プライベートの時間も持ちたいから」などだとします。
3.出てきた理由についてもう一度「なぜなのか」と問いかけてみましょう。
「仕事で良い結果を残したい」を選んだ人は、仕事で自分のことを認めてもらいたいという欲求があったからかもしれません。「仕事の効率的に終わらせて自由な時間を確保したい」を選んだ人は、仕事のみを生きがいにしたくないという理由があったとします。前者であれば、「頑張りをしっかりと評価してくれる制度があること」も大事になり、後者であれば、「残業時間が少ないこと」ということも求めていることがわかります。
このように深堀りをしていくと、「企業の雰囲気がおだやか」というMUST要素以外の叶えたいことが見つかります。深堀りする過程で見つかった大事にしたいことと、MUST要素で挙げていた条件が被る場合は、その条件はあなたの中で重要度が高いと判断して良いでしょう。被る条件があった場合は、転職の軸の核となるものか検討してみてください。被らなかった場合は、深堀りしてでてきた願望の中で、本当に大事にしたいものの順に並べてみましょう。この方法を使うと、自分の大事にしたいことをより鮮明に想像できるようになるので、ぜひ試してみてください。
まとめ
転職の軸を明確にするための方法を、3つのステップに分けて見てきました。1章~3章を参考に、あなたの転職の軸を探してみましょう。最後に、自己分析は、自分で分析できたら終わりではなく、第三者の意見も聞いてみて考え直すなど、自分に関して気になることを追求していく方法がおすすめです。自分の考えを深堀りするのに行き詰まったときも、家族や友人、キャリアアドバイザーなどに気軽に相談してみましょう。話すことで自分の考えも整理されます!自分はどんなことを大事にしたいのかを考える時間だと思って、自己分析を進めていきましょう。