事務職は人気の職種で競争率も高いため、未経験で求人に応募する際はより印象に残る志望動機を考える必要があります。その際は「なぜ事務職を選んだのか」「なぜこの会社が良いのか」を明確に伝えることが重要です。
本記事では、事務職の種類や役立つスキル、志望動機の例文などを詳しく解説します。
最後まで読むことで事務職への理解が深まり、自分の経験や強みを志望動機にどう生かせばよいかが分かるようになります。
事務職の志望動機の書き方で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
【この記事で分かること】
・事務職は職種ごとに求められる能力が異なるため、まずは職種理解で仕事への理解を深める必要がある
・パソコンスキルや正確性は重要視されるが、各部署と連携して業務を行うため、コミュニケーション能力も欠かせない
・第三者からの評価や長期的な入社意欲を示すことで、他の候補者の志望動機と差を付けられる

目次
事務職の志望動機には「職種理解」が欠かせない
事務職とはどのような仕事?
事務職志望でアピールできるスキル・能力
事務職の志望動機の基本構成
事務職の志望動機で他の候補者と差が付くポイント
【職種別】事務職の志望動機例・ポイント
まとめ
事務職の志望動機には「職種理解」が欠かせない
事務職の志望動機を書く際は、主な仕事内容や求められるスキルの理解が欠かせません。
採用担当者は、入社意欲や転職理由だけではなく、入社後に実現したいことが何か、発揮できる能力が何かを確認しています。
職種理解が十分にできていない場合、志望動機に説得力がなくなり「事務職ではなくてもよいのでは」「採用してもすぐに退職するのでは」と思われる可能性があります。そのため、まずは事務職の仕事内容や職種、求められるスキル、生かせる能力を深く理解することが重要です。
事務職とはどのような仕事?
事務職は、企業のバックオフィス業務全般を担うポジションです。主に資料作成や電話・来客応対、経理処理などの幅広い業務を担当しています。
業務を円滑に進めるために不可欠な職種であり、縁の下の力持ちとして企業の経営を支えているポジションです。
事務職にはさまざまな職種があり、それぞれ業務内容が異なります。ここでは以下の4つの職種をピックアップし、オフィスでの役割や仕事内容を紹介します。
・一般事務
・営業事務
・医療事務
・経理事務
一般事務
一般事務は、各部署が業務を効率的に進められるよう、日常的な事務業務を幅広く担当する職種です。主な業務には、書類作成やデータ入力、電話・来客応対、備品管理などが挙げられます。その他、郵便物の仕分けや書類のコピー・ファイリングなども行います。
特定の部署に特化するよりも、各部署と連携しながら社内全体の業務をサポートする職種です。基礎的なパソコンスキルがあれば始められるため、高い専門性やスキルはそこまで重視されませんが、業務の幅が広いのが特徴です。
営業事務
営業事務は、営業担当者が円滑に営業活動を進められるようにサポートする職種です。具体的には見積書や契約書の作成、受発注処理、顧客データの入力・更新などを担当します。商談で使用するプレゼンテーションの作成や売上管理なども、担当業務の一つです。
一般事務が社内の業務を幅広く支えるのに対し、営業事務は営業部門に特化している点が特徴です。打ち合わせ時に顧客の応対をしたり、電話・メール対応でお客さまとやり取りしたりする場合もあります。
医療事務
医療事務は、病院やクリニック、健診センターなどの医療機関で、診療報酬請求や受付対応を中心に担う職種です。
例えば受付業務では来院した患者さまの案内や会計、カルテの管理を行います。診断報酬請求業務では、レセプト作成を通じて保険者への請求手続きを行います。医療機関と患者さまの橋渡し役としてサポートするのが特徴です。
また視力検査などの簡単な検査の補助を担当する場合もあるため、求人内容はよく確認しましょう。
経理事務
経理事務は、企業の資金の流れを記録・管理する職種です。仕訳入力や伝票処理、請求書の発行、経費精算などの日常的な業務から、月次・年次決算のサポートまで幅広く担当します。
従業員の給与計算や税務申告なども担当しており、企業の経営を数字の面から支える役割を果たしています。
他の事務職と比べて、会計や税務に関する専門知識が求められるため、簿記や会計ソフトのスキルがあれば即戦力として評価されやすいでしょう。
事務職志望でアピールできるスキル・能力
事務職に求められるスキルを理解しておくと、採用担当者の印象に残る志望動機を考えやすくなります。
具体的にアピールできるスキル・能力は、以下の通りです。
・正確・迅速な業務遂行スキル
・パソコンスキル
・コミュニケーション能力
・マルチタスク能力
以下で一つずつ解説していきます。
正確・迅速な業務遂行スキル
事務職には、業務を正確かつ迅速に進めるスキルが求められます。
例えば、書類作成やデータ入力では、わずかなミスが大きなトラブルにつながりかねません。そのため業務を効率的に進めつつ、細部まで注意を払えるスキルが高く評価されます。
パソコンスキル
事務職は日々パソコンでタスクを処理するため、基礎的なパソコンスキルが求められます。
WordやExcel、PowerPointなどのOfficeソフトの操作は必須であるケースがほとんどです。特にExcelの関数や表計算を使いこなせるスキルは、選考時にアピールすると高く評価される場合があります。
タイピングの速度は、目安として英数字の場合は1分間に300~400文字、日本語の場合は1分間に50~60文字入力できると、作業を円滑に進められる力としてアピールできます。
コミュニケーション能力
社内外のさまざまな人とやり取りする場面が多くあるため、コミュニケーション能力も求められます。
電話・来客応対では、相手が求めていることを理解し、正確かつ丁寧に対応する必要があります。報告・連絡・相談を的確に行い、円滑にコミュニケーションが取れる人は、良好な信頼関係を築ける人材としても評価されやすいです。
マルチタスク能力
複数の業務を効率よく同時進行できるマルチタスク能力は、事務職に応募するときにアピールできるスキルです。
複数の依頼や突発的な業務が重なる場面でも、優先順位を判断して柔軟に対応できる力があれば、社内の業務効率を高められます。
事務職の志望動機の基本構成
職種ごとの仕事内容や求められるスキルを理解したら、次は具体的な志望動機を考えます。
事務職の場合、以下の構成を意識して作成しましょう。
1.事務職を志望する理由
2.その企業を志望する理由
3.事務職としてどのように企業に貢献できるか
次で詳しく見ていきます。
1.事務職を志望する理由
採用率を上げる志望動機を作成するには、事務職に就きたい明確な理由を入れましょう。
なぜ事務職に興味を持ったのか、どのような経緯で求人に応募したのかが明確に定まっていない場合、志望動機が漠然とした内容になりがちです。
例えば「安定していて長く働けそう」だけでは、志望度が低いと見なされる場合があります。「細かい作業やデータ管理が得意で、正確性を生かして企業を支えたい」「誰かを支える仕事にやりがいを感じた」などと具体的に示し、入社意欲を伝えましょう。
まずは自分の強みや経験を振り返り、なぜ事務職を志望しているのか整理しましょう。
2.その企業を志望する理由
事務職に就きたい理由だけではなく、その企業に入社したい理由も伝えましょう。
採用担当者に響く志望動機を作るには、企業の特色と自分の価値観を結び付けて伝えるのがポイントです。
例えば「地域密着の事業展開に共感した」「〇〇という企業理念の元で自分の強みを生かしたい」など、その企業ならではの魅力を挙げると説得力が高まります。
応募先のWebサイトや会社案内などを確認し、企業理念や事業内容、社風、今後の展望などを把握しましょう。競合他社と比較し、その企業にしかない強みを理解すれば、さらに説得力が増します。
3.事務職としてどのように企業に貢献できるか
入社後どのように企業に貢献できるのか、具体的な目標とともに伝えるのもポイントです。
自分の強みをどう生かせるかを考える際は、求人に記載された職務内容や求める人物像を参考にしましょう。例えば、求人に「チームワークを大切にして働ける方」とあれば「接客経験で培った先回りして動く力を生かし、社内外の関係構築に貢献したい」といった内容を書きます。
その企業の仕事の進め方や求められるスキルを洗い出し、自分の強みをどう生かせるのかを考えましょう。

事務職の志望動機で他の候補者と差が付くポイント

事務職は競争が激しいため、曖昧な志望動機では採用率が下がる可能性があります。
他の候補者と差をつけるには、以下のポイントを意識しましょう。
・具体的なエピソードと第三者からの評価を盛り込む
・入社後の長期的な貢献意欲をアピールする
・ポジティブで前向きな姿勢で話す
以下でそれぞれについて解説します。
具体的なエピソードと第三者からの評価を盛り込む
志望動機には、具体的なエピソードや第三者からの評価を盛り込みましょう。
単に「〇〇のスキルがあります」と伝えるだけでは、説得力が弱くなります。しかし前職で成果を上げた実績や、上司・同僚、顧客からの評価を示すことで、そのスキルが実務でどのように発揮されたかを裏付けられます。
事務職は数字でアピールするのが難しいため「ミスが少ないので重要なチェック業務を任された」「丁寧な電話対応が顧客に評価された」など、第三者の評価を記載しましょう。
入社後の長期的な貢献意欲をアピールする
志望動機では、入社後にどのように成長し、どのような業務を通して会社に貢献していきたいかを示すことも大切です。
端的に「サポートするのが好きで志望した」と伝えると、採用担当者が「この人を採用するメリットは何だろう」と疑問を抱く可能性があります。
今後どのような活躍をしていきたいかを示すことで、長く安定して働いてくれる人材だと評価されやすくなります。「将来的には業務効率化に取り組みたい」「後輩の育成に携わりたい」など、長期的な視点で伝えましょう。
ポジティブで前向きな姿勢で話す
志望動機は、ポジティブで前向きな表現を意識しましょう。
転職理由には「休日出勤が多かった」「ノルマのプレッシャーが大きかった」など、ネガティブな理由もあります。
しかし、そのまま伝えると採用担当者にマイナスな印象を与える可能性があるため、前向きな言葉に変換して伝えましょう。
例えば、営業職でノルマのプレッシャーが大きくて退職した場合「正確な事務処理を通じてチーム全体の成果を支えたい」などと、ポジティブに伝えるのがポイントです。
【職種別】事務職の志望動機例・ポイント

ここでは、以下の4つの職種に分けて、志望動機の例文と書き方のポイントを解説します。
・一般事務
・営業事務
・医療事務
・経理事務
事務職経験者・未経験者に分けて解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
一般事務
【経験者】
前職では、2年間総務部で一般事務を担当し、データ入力や資料作成などを担当しました。
しかし、分業化が進む職場で対応できる業務範囲に限界を感じ、より幅広く組織を支える仕事を求めて転職を決意しました。
貴社の一般事務職なら、幅広い事務作業を通じて会社を支える役割を担えると思い、志望いたしました。これまで培ったパソコンスキルや正確な事務処理能力を生かし、チームの業務を円滑に進める存在として成長していきたいです。
【未経験者】
前職では販売職に携わり、接客を通じてコミュニケーション能力を磨きました。売上データ入力や在庫管理を行う中で、正確な作業で現場を支えるやりがいを感じ、事務職を志望いたしました。
貴社の一般事務職では正確さや効率性、協調性が求められる業務が多く、自分の適性を発揮できると考えています。入社後は学び続ける姿勢を持ち、少しでも早く貴社の即戦力となれるよう努力いたします。
未経験者の方は、前職で培ったスキルをどう生かせるのかを示すのがポイントです。「MOS資格取得に向けて学習を進めている」など、資格取得への取り組みをアピールすると、入社意欲の高さを評価されやすいでしょう。
経験者の方は、正確性や事務処理能力、突発的な業務に対応できる柔軟さやマルチタスク能力を示すと、印象に残る志望動機になります。
営業事務
【経験者】
前職では不動産の営業事務として3年間勤務し、契約書類の作成や物件情報の管理、営業担当者のスケジュール調整など幅広い業務を担当してきました。
物件情報を更新する際は、価格や間取り、成約状況に誤りがないようダブルチェックを徹底し、なおかつ迅速な対応を心掛けてきました。
さらに大きな組織で経験を積み、より高いレベルで成長したいと考え、業界の第一線を担っている御社の営業事務職に応募いたしました。これまで培った正確な処理能力や調整力を生かし、営業部門全体の成果に貢献したいと考えます。
【未経験者】
前職では営業職として3年間勤務し、新規顧客の開拓や既存顧客のフォローに力を入れてきました。日々の活動を通し、資料作成や日程調整などを正確に行うことが営業成果を支えていると実感し、営業事務に興味を持ちました。
貴社の営業事務職では、営業経験で培ったコミュニケーション力と正確な処理能力を生かし、営業担当者と連携しながら成果に貢献したいと考えています。
営業事務では、顧客や営業担当者と円滑にやり取りできるコミュニケーション力と、正確かつスピーディーな処理能力をアピールしましょう。
経験者はデータ分析や資料作成などのサポート経験をアピールし、未経験者は前職を通じてサポートの重要性を学んだエピソードを盛り込むと効果的です。
医療事務
【経験者】
前職では消化器内科で3年間勤務し、1日当たり100名を超える患者さまの受付対応やレセプト業務を担当してきました。診療報酬請求の正確性を意識し、提出前のダブルチェック体制を整えるなどして、業務効率化にも取り組みました。
貴院は地域医療を支える体制に力を入れていると伺い、患者さまと接点を持ちつつ現場のスムーズな運営に貢献できると考え、志望いたしました。
患者さまに安心感を持ってご来院いただけるよう、医療チームの一員として信頼される存在になることを目指してまいります。
【未経験者】
前職は、アパレル販売員として接客経験を2年間積んでまいりました。会計やデータ入力を経験する中で事務作業にも関心が高まり、接客経験と正確性を生かせる医療事務に興味を持ちました。
貴社は教育体制が整っており、未経験からでも成長できる環境だと思い、志望いたしました。
将来的には医療事務の資格を取得し、幅広い業務に携われるようになりたいと思っております。
医療事務の志望動機では、患者さまに安心感を与える接客力や正確な処理能力を示すと、即戦力として評価されやすくなります。
経験者は前職の診療科や対応患者数を伝え、どのように現場に貢献したのかを記載しましょう。未経験者は、資格取得に対する意欲を示すと説得力が増します。
経理事務
【経験者】
前職では製造業の経理部門に3年間勤務し、伝票処理や月次決算の補助業務に従事しておりました。
今後は、これまでの経験を土台にさらに知識を深め、決算業務や経営管理にまで関わることでキャリアアップを目指したいと考えています。
貴社の経理職は、幅広い業務に挑戦できる環境が整っていると伺っております。自身の正確な処理能力やマルチタスク能力を生かしながら貢献できると考え、志望いたしました。
【未経験者】
前職では飲食店の店舗運営に携わり、売上や在庫の管理、スタッフのシフト作成、経費精算など幅広い業務を経験しました。その中でも数字を扱う業務にやりがいを感じ、経理事務としての専門性を高めるために日商簿記3級の資格を取得いたしました。
貴社は、社員一人ひとりが幅広い業務に携わりながら成長できる環境を整えていると伺い、その姿勢に強く共感いたしました。簿記の知識を生かしながら、正確さと責任感を持って貴社の経理業務に貢献してまいります。
経理職を志望する際は、数字を正確に業務に反映できる点を強みとして伝えましょう。
経験者は、伝票処理や決算補助といった担当していた業務を挙げるのがポイントです。未経験者は、売上管理や店舗運営での数字管理の経験を志望理由に絡めたり、資格取得の状況を補足したりすると、高い入社意欲をアピールできます。
まとめ
事務職の志望動機を考える際は、仕事内容や求められるスキルを理解することが欠かせません。事務職に興味を持った理由やその企業が良い理由だけではなく、自分の経験や強みをどう生かせるのかを盛り込みましょう。
またその企業に勤めた場合の将来のビジョンを入れると、入社後の活躍を採用担当者にイメージしてもらいやすくなります。
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