更新日:2025年1月27日
転職が決まると、次に待っているのは入社手続きです。入社までに揃えておく書類はたくさんありますが、その中のひとつとして身元保証書の提出を求められることが少なくありません。
この記事では身元保証書の目的はどのようなもので、身元保証人は誰に依頼するのが一般的か、またどうしても頼める人がいない場合の対処方法についてご紹介します。
最後に身元保証書に関してよくある質問にもお答えいたします。
目次
入社時に提出する身元保証書とは?
身元証明書との違い
入社時の身元保証人は責任が重い?
身元保証書の保証人は誰がいい?
身元保証人が見つからないとき
自己PRの書き方の手順
よくある質問
入社時に提出する身元保証書とは?
入社時に提出を求められる書類のひとつに、身元保証書があります。
身元保証書は家族や親族といった身元保証人に署名してもらう書類のことで、身元保証書の目的は大きく2点あります。
1点目は入社する人物が社会人として誠実に責任をもって会社に勤務できるということの証明です。
2点目は、万が一会社に損害を与えてしまった場合に備えて第三者が本人とともに損害賠償に応じることを保証することです。
そのほかにも、もし入社する人物が悪事を働き企業に損害を与えてしまった場合、自分だけでなく保証人に大きな迷惑がかかってしまうという責任を自覚させ、悪事を防止するための抑止力、何らかのトラブルで本人と連絡がつかなくなってしまった際の緊急連絡先としても機能します。
身元保証書は、労働基準法で提出が定められているものではなく、会社が就業規則で定めるものです。
提出を求められない場合もありますが、現状では提出を求める会社が多いといえます。
身元証明書との違い
名前は似ている書面に「身元証明書」があります。
「身元証明書」は、本籍地の市町村で発行され、本人が法律上の行為能力を備えていることを、公の機関が証明する書類です。
「身分証明書」とも呼ばれる場合もあります。
具体的には、
・禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない
・後見の登記(※)の通知を受けていない
・破産の通知を受けていない
があげられます。
名前が似ていても「身元証明書」と「身元保証書」は、内容も発行主体も違う書面ですので間違いの無いようにしましょう。
入社時の身元保証人は責任が重い?
身元を保証する社員の業務上の管理監督は、会社が行うべきものです。
身元保証人の責任が過度に重くなることを防ぐために、身元保証人の負うべき責任は「身元保証に関する法律(身元保証法)」という法律によって制限されています。
保証期間と責任範囲
身元保証書に期間が明示されていない場合、有効期間は3年で、最長でも5年が上限とされています。
また、会社に損害を与えてしまった場合、通常は身元保証人に損害賠償金が全額請求されることはないとされ、仮に裁判になったとしても情状酌量されることが多いといわれています。
保証人には、保証人をやめる権利(解除権)がある
身元を保証する社員に問題があったとき、会社側はいきなり損害賠償を求めたり裁判所に訴えたりするのではなく、まずは保証人に通知をしなければなりません。
その社員の業務遂行に問題があり、保証人が責任を負う可能性がある場合や、任務や任地が変わったことで責任を負うのが難しくなった場合が該当します。
この通知を受けたとき、身元保証人は保証人をやめる権利(解除権)を持っています。
身元保証書の保証人は誰がいい?
身元保証書の保証人の条件は企業によって変わる場合もありますが一般的には下記4つの条件に当てはまる人とされています。
・仕事をしている
・収入がある
・成人している
・犯罪者ではない
両親・配偶者が一般的
身元保証人として最も一般的なのは、両親・配偶者です。
ただし、年金受給者や専業主婦・主夫など、仕事をしていない人は身元保証人になれません。
また配偶者で働いていて収入があったとしても、損害賠償時に、保証人が「本人と生計を同一」にしていた場合、十分な賠償金額が得られない可能性があるため、身元保証人になることができません。
その他、身元保証人になれる人
両親・配偶者が上記の理由でなれなかった場合、どういった人が身元保証人になれるのでしょうか。
生計が別であるという条件もありますが、4つの条件を満たしている場合は、祖父母、兄弟、姉妹なども身元保証人になることが可能です。
身元保証人が見つからないとき
両親が亡くなっている、また親族に条件に当てはまる人がいなかったり頼めなかったりした場合は信頼できる友人や知人に依頼できるか相談してみましょう。
それでも保証人が見つからないときには、身元保証サービスを利用します。
身元保証サービスとは、一定の金額を支払うことで身元保証人になってもらうサービスです。
入社時の身元保証をはじめとして、住宅の賃貸契約の際や、介護施設への入所、外国人が日本人の保証人を必要とする場合などに利用されています。
よくある質問
Q:身元保証書の提出は拒否できるの?その場合はどうなるの?
A:提出を拒否しても違法ではありませんが、就業規則で提出が定められている場合には、提出拒否を理由に会社側に入社を拒否される可能性もあります。
過去にも実際に身元保証書を提出しないで採用が取り消された事例もあるようですので、どうしても提出できない事情がある場合を除き提出するようにしましょう。
Q:アルバイトやパートでも提出しないといけないの?
A: アルバイト・パートとして採用される場合でも、会社から求められたら身元保証書は提出するようにしましょう。前述の通り、身元保証書の提出が採用条件になっている場合、提出を拒否すると正社員同様採用取り消しになる可能性があります。
近年、SNSに勤務中の不適切な行動や迷惑行為を投稿し炎上する事態も増加しています。
アルバイト・パート従業員だとしても、リスク回避のために身元保証書の提出を義務付ける場合もあるようです。
Q:保証人の印鑑証明書を求められました。
A:求められた場合は、原則提出しましょう。
印鑑証明書には「保証人が架空の人物ではないか(提出者が偽造したものではないか)を確認する」ための効力があります。
身元保証書とあわせて印鑑証明書を求められた場合は、身元保証書に実印を押してもらった上で、印鑑証明書も添付してもらうよう保証人に頼みましょう。
その際は、印鑑証明書を発行するスケジュールも加味しながら書類の準備をすることをお勧めします。
印鑑証明書の悪用を心配されるかもしれませんが、印鑑証明書だけでは本人証明などの効力がないため悪用は難しいと思われますので、どうしてもの理由以外は提出に応じるのが良さそうです。


身元保証書は、会社にとって損害賠償先を確保するというよりも、誠実な勤務を約束させる意味合いの方が強いといわれています。もし身元保証人探しで困ることがあれば、思い切って会社に一度相談をしてみましょう。これから長くお世話になる会社なのですから、最初からすべてを1人で抱え込もうとせずに、まずは相談してみることをおすすめします。
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