_{●株式会社ジーユー　代表取締役社長　柚木治氏}

――柚木さんが2010年から社長を務めるジーユー（ＧＵ）は、設立12年でいまや売上約2000億円。ファーストリテイリング傘下でユニクロに次ぐブランドに成長しています。どんな会社ですか。

柚木　GUは“超ベンチャー企業”です。ベンチャーとして、自由があるし、時代の変革に対応するスピード感を持ち、若い人にもチャンスが巡ってきやすい会社です。さらに“超”が付くのは、ファーストリテイリングのビジネスのノウハウ、資金力、人事政策などがベースにあり、安心感がある。いわば“ジェットエンジン付き自転車”。スタートダッシュからグーンと他社に差を付けています。

――ご自身も一橋大学を卒業してすぐ伊藤忠商事に入社して11年ほど勤め、1999年、ファーストリテイリングに入社しています。転職のきっかけは？

柚木　伊藤忠では社会人の基礎を学び、今も好きな会社です。石油プラント事業を担当していましたが、ある時、ヘルメットを被って夕日を浴びながら中近東で立ち上げたプラントを見ていて、「これって本当に自分がやりたかった仕事かな」という思いが湧きました。商社は企業と企業を繋ぐビジネスが主です。私はもっと人びとの生活に密着した仕事がしたいと思いました。その後、ファーストリテイリング社長の柳井正さんに会う機会があり、「ファーストリテイリングは世界一になる」と、熱く語られまして。「日本発、世界一」の夢にワクワクし俄然ファイトが湧いた。これだ！と思いました。

――経験を踏まえ、Ｒｅ就活を目指す若い人たちへのアドバイスをお願いします。日本では新卒採用者の3割の人たちが3年を経ずして辞めてしまう統計結果もあります。

柚木　大学卒業から勤め出して数年の間は、自分が本当は何がしたいか、わからない方がふつうでしょう。会社に入ったら、そこで経営者になるくらいの気持ちをもって、ともかく自分に力を付けることです。仕事って最初からうまくいくわけではない。でも、やっているうちにできるようになり、おもしろくなります。それはサッカーでもゴルフでも同じこと。次の会社に行くとしたら、若いうちから仕事を任せてくれるところがいい。ともかく打席に立てる、チャンスが巡ってくる会社がよいと思います。

――新卒、Ｒｅ就活を含め、GUは20代の人たちをどのように迎えていますか。

柚木　活躍の機会を与えるのはもちろん、何でも言えるように社内の風通しをよくしています。会社全体がどっちに向っているのか、よいことも悪いことも情報を共有する。私自身が毎週、各店を回って店長やスタッフに会い、メッセージを発信しています。それとともに、社員から意見や提案はメールでどんどん送ってもらい、社内で共有し、私からは「このアイデアはいいじゃないか」「ここのところをもう少し教えて」など返信して双方向のやり取りをしています。

――若い社員たちには、どうあってほしいですか。どんな人材を求めていますか。

柚木　仕事で選択を迷った時はドキドキする方を、ちょっと怖いなと思う方を敢えて選んでほしい。いきなり大きなチャレンジは難しくても少しずつ背伸びしていけば、その掛け算で自分のレベルが上がっていきます。私は“ノリノリのポジティブなチームワーク”と言っていますが、社員には苦しいことも楽しいことも仲間と目標を持ち乗り越えていってもらいたい。GUが得たい人材は、みんなでより大きな成果を出すリーダー。そして、ボーダレスな世界の中でグローバルな興味を持てる人です。

――記者から一言

柚木社長は上から下までGU製品で決めていました。「エネルギーレベルでは誰にも負けません」とアグレッシブ。「しかし、自分が社員にとっての上限になってはいけない」と戒めます。かつてファーストリテイリングで野菜販売会社社長になり、1年半で26億円もの赤字を出し撤退。この苦い経験から「何ごとも自分1人だけで大きな成果は上げられない」と学んだとか。「ファッションのことは社員の方がよっぽど知っています」とも。なるほど“ノリノリのポジティブなチームワークを大切に”を実践している社長です。

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