同業他社への転職は可能? “競業避止義務”について知っておこう

最終更新日: 2019年11月01日
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玉田 誠一

同業他社への転職は可能? “競業避止義務”について知っておこう

 

皆さんは「競業避止義務」という言葉を聞いたことがありますか? 転職活動の際によく耳にする人もいれば、「どのようなものなのか詳しく知らない」という人もいるかもしれませんね。

ここでは、競業避止業務とはどのようなものなのかについて解説するとともに、転職の際のポイントもご紹介します。

同業他社への転職NG!? 競業避止義務とは何?

「競業避止義務」は簡単に言うと“同業他社への転職を禁止する規則”です。機密情報を知っている従業員によって競合他社に情報が漏れたり、元従業員が在職中に得た情報を使って、同業界で事業を始めたりすることで、企業が損害を受けないように、という目的で企業が規定を設けている場合があります。

義務といわれると法的効力があるように思えますが、この規則は会社によって規定されているルールに過ぎず、実際に法律として存在しているものでもありません。

要するに、就業規則や退職時の誓約書などによって「同業他社への転職を禁止する取り決め」をしていなければ、同業他社へ自由に転職することができるというわけです。

では逆に、就業規則や入社時、退職時の誓約書に「同業避止義務」についての記述がある場合には、どうすればよいのでしょうか?企業によっては入社時や退職時に「一定の期間内や地域内に同業他社へ転職することを禁止する」という誓約書にサインを求められる場合があります。我々には前提として「職業選択の自由」という権利がありますし、上で述べたように法的効力があるものではありませんが、事実として、競合他社に入社した元従業員によって機密情報の漏洩があり、前職の会社が損害を被ったとして裁判を起こしたケースもあるようです。

「同業他社に転職したいが円満退職も実現したい!」と思うのであれば、常識的な範囲で対応していく必要があります。

同業他社へ転職したい場合、どのようなポイントを押さえるべき?

同業他社へ転職したいとき、前職で競業避止義務に関する規約を結んでいない限りは、自由に転職活動ができます。とはいえ前職の守秘情報や悪口などをベラベラと喋ってしまうと、社会人としてのモラルが問われます。良識的にふるまうことを意識した転職活動を行いましょう。

また、損害賠償請求の手続きにかかる手間や費用は、企業にとって大きな負担になるもの。労働者が競業避止義務の規約を結んでいたとしても、同業他社へ転職をした後、故意的に前職で得た情報が漏らされ、前職企業側に大きな損害が生じたという事実がなければ、企業側もそのまま何もアクションを起こさないことのほうが多いのです。

ただし、注意したいのが「他人の悪意ある行動」によって、同業他社に転職したことがバレてしまった場合です。これは前職の在職中に人間関係がこじれていた場合によくあるトラブルで、裁判で損害賠償請求をされてしまうと、判決次第では企業に対して賠償金を支払う義務が生じてしまいます。

このようなトラブルを防ぐには、以下のことに気をつけるようにしましょう。

・誓約書や就業規則は事前にチェック

入社時の誓約書や就業規則に既に協業避止義務についての記載がないか、事前にチェックしておきましょう。また、もし記載がある場合や、退職時にもらった書類に記載を見つけた際には、内容をしっかり理解したうえで交渉してみるのもひとつの手です。

「機密情報を把握していない一般社員に対し、一生涯にわたり同業他社への転職を禁止する」「地方の小さい企業が、全国の同業他社への転職を禁止する」など、退職者にとって大きな不利益が生じる規約内容の場合、もし仮に裁判になったとしても、効力がない場合もあります。どこまでが「同業他社」にあたるのか、禁止期間や禁止地域を緩和してもらえないか、あなたの進みたい道に対して不利益にならない条件を相談してみましょう。

・転職先をむやみに教えない

お世話になった上司・先輩に転職先を聞かれたら、つい会社名を話してしまいそうになりますよね。ただし、転職先の会社がばれることで、思わぬ形で退職の引きとめを受けたり等、退職がスムーズに進まなくなるリスクもあります。社名の開示は本当に必要な相手にだけと決めておいたほうがベターです。

・転職した後も、前職で得た情報に関する発言に気をつける

企業の機密情報とは、内部の人間しか知り得ないような取引企業名、取引額など具体的な情報を指す場合が一般的です。学んだことを次の職場で活かすことはとても大切なことですが、前職の売上、取引に直接関わるような情報を喋ってしまうことはないよう、モラルを守ることが大切です。

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同業他社への転職は、全てのケースでNGではない!円満解決する方法も考えてみよう

 

同業他社への転職をすることは「今まで経験した業務やスキルを活かせる」というメリットがあります。競業避止義務に関しては、退職を決めた際に念のため「前職で競業避止義務に関する規則・誓約書がなかったか」「規則に同意している場合、内容はどのようなものなのか」を確認しておくと安心ですね。

今回は競業避止義務についてご紹介しましたが、「Re就活」では他にもさまざまな転職活動に関する情報が紹介されていますよ。こまめにチェックしておき、転職活動の進め方や考え方の参考にしてみましょう!

 

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