安定した経営基盤に、充実した福利厚生、高い知名度とブランド力が魅力の大手企業は、転職市場でも高い人気があります。
「中小企業から大手企業への転職は難しそう」「自分が挑戦しても無理かもしれない…」といった不安を抱えている人も多いでしょう。
しかし、中小企業から大手への転職は決して不可能な挑戦ではありません。正しい準備と戦略を立てれば、道は開けます。
本記事では、中小企業から大手企業への転職が難しいといわれる本当の理由から、大手企業への転職に成功する人の特徴、具体的な準備と対策まで詳しく紹介します。本記事を参考に、大手企業への転職成功に向けて、自信を持って一歩を踏み出しましょう。
【この記事で分かること】
・中小企業から大手企業への転職が難しいのは事実だが、不可能ではない
・大手企業への転職を成功させる人には「高い専門性と実績がある」「第二新卒でポテンシャルが高い」など、いくつかの特徴がある
・「大手に転職したい」と思ったら、専門性の高いスキルの習得や、大手転職に強い転職エージェントの活用など、計画的に準備と対策を進めることが大切

目次
中小企業から大手企業への転職は「無理」ではない
なぜ中小企業から大手企業への転職は難しいといわれる?
大手企業へ転職するメリット・デメリット
中小から大手への転職を成功させる人の5つの特徴
大手企業への転職に向けて今日からできる準備と対策
まとめ
中小企業から大手企業への転職は「無理」ではない
結論として、中小企業から大手企業への転職は「無理」ではありません。「新卒ではないから」「中小企業での業務経験しかないから」などの理由だけで不採用になることはないでしょう。
現在の就職市場では人材不足が深刻化しており、大手企業でも中途採用を積極的に行っています。日本経済新聞社が主要企業5,171社を対象に行った調査によると、2024年度の採用計画に占める中途採用者の比率は過去最高の43.0%でした(※)。大手企業であっても、約2人に1人は中途入社になる計算です。
少子化と人手不足の影響から、即戦力になる中途採用人材の取り込みに積極的な企業が増えています。
※参考:日本経済新聞.「中途採用5割迫る、24年度「新卒中心」転換点 日経調査」.(2024-04-08)
なぜ中小企業から大手企業への転職は難しいといわれる?

中小企業から大手企業への転職は、なぜ難しいといわれるのでしょうか。以下で2つの理由を紹介します
競争率が高いから
大手企業は競争率が高く、入社するのが難しい傾向にあります。
給与水準の高さや充実した福利厚生、社会的信用の高さなど、就職によりさまざまなメリットが得られるため、転職市場で非常に人気があります。
中小企業庁の発表によると、2021年の日本国内の総企業数に占める大手企業の割合はわずか0.3%です(※)。非常に少ない求人数にもかかわらず、多くの求職者が殺到するため、競争倍率が100倍を超える求人も存在します。
※参考:中小企業庁.「中小企業白書」.“中小企業白書・小規模企業白書について”.“中小企業・小規模事業者の企業数、従業者数、付加価値額”.(参照2025-09-16)
募集要件が厳しいから
大手企業への転職は募集要件の厳しさから、難しいといわれることもあります。大手企業では業務が細分化されており、特定の専門領域を極めた即戦力になる人材を希望する傾向が強いためです。
一方、中小企業は一人ひとりの担当業務や責任の範囲が広くなりがちです。幅広い経験を積んでいることはアピールポイントになる反面、大手企業によっては専門性が不足していると判断されることもあります。
ただし大手企業の中には、20代や第二新卒の採用を積極的に行っている会社もあります。その場合はポテンシャルや将来性も評価されるでしょう。
大手企業へ転職するメリット・デメリット
中小企業から大手企業への転職には、メリットとデメリットの両方があります。それぞれを理解した上で、自分に合う企業を探しましょう。
メリット
中小企業から大手企業に転職するメリットは以下の通りです。
・給与水準が高く福利厚生が充実している
・影響力が大きい仕事に携われる
・研修や教育制度が整っている
大手企業は基本給の水準が高く、ボーナスの支給も期待できます。また健康保険への加入といった法律上義務付けられているもの以外に、誕生日休暇や食事補助など独自の福利厚生が充実しているケースもあります。
さらに予算規模が大きいことから、日本だけではなく世界に影響を与えるような仕事に携われる点も魅力です。グローバルに展開している企業であれば、海外勤務のチャンスも広がります。
その他にも研修や教育制度が充実している点も大手企業の特長です。新入社員向けだけではなく、中途採用者や中堅社員、管理職、専門職など、それぞれのキャリアの段階に合わせた研修があり、スキルアップの支援が受けられます。
デメリット
中小企業から大手企業に転職するデメリットは以下の通りです。
・業務範囲が狭く個人の裁量権も小さくなりやすい
・単調さを感じてやりがいを感じにくくなる可能性がある
・中小企業と比べ組織との一体感を持ちにくい
・ジョブローテーション・転勤・異動の可能性がある
先述のように大手企業の多くは業務を細分化しています。そのため自由度の高い中小企業から転職すると、裁量権がほとんどなく窮屈に感じる可能性があります。また同じ業務内容を毎日続けていると、スキルの幅を広げるチャンスが減ったと感じるかもしれません。
さらに、対応する業務の専門性が高くなった分、仕事の全体像が見えにくく組織との一体感を持ちにくかったり、社員同士の距離が遠く感じたりすることもあります。
他にも社内の部門が多かったり、全国や海外に拠点があったりする企業の場合は、短期間で部署の移動や転勤が発生しやすく、公私ともに「落ち着かない」と感じてストレスを抱えることがあるかもしれません。
中小から大手への転職を成功させる人の5つの特徴
中小企業から大手企業への転職を成功させる人には、以下のような特徴があります。
・高い専門性と実績を兼ね備えている
・広い視野と課題解決力を持っている
・リーダーシップを発揮した経験がある
・大きなビジネスフィールドで挑戦したい意欲がある
・第二新卒としてポテンシャルが十分にある
それぞれ詳しく解説します。
高い専門性と実績を兼ね備えている
前述の通り、大手企業は自社で育成できていない領域の専門家を求める傾向が強いため、即戦力となる人材であることをアピールするのが効果的です。
具体的には大手企業の抱える課題を解決できる人材や、新たな領域への挑戦を担える人材が有利になりやすいです。
なお営業職のように同業種や同職種内で業務内容に大きな違いがない場合、中小企業で群を抜く実績があれば、大手企業に採用されることもあるでしょう。
広い視野と課題解決力を持っている
中小企業で事業全体を見渡しながら働いてきた経験や、制約がある中で問題を解決してきたスキルは、大手企業への転職でも強みになります。
中小企業では、職種や他部門の垣根を越え連携しながら業務を進めることも多くあります。このような経験は、大手企業で複雑なプロジェクトを進める際の即戦力と評価されやすいです。部門間の調整役やコミュニケーションの潤滑剤になれる人材は、大手企業からも求められています。
また中小企業では課題を解決する際にリソースが限られているケースが多く見られます。そのような制約の中で、問題やトラブルに自ら対応し、解決策を考え実行してきた経験や能力も、大手企業が高く評価する点です。
リーダーシップを発揮した経験がある
中小企業では若くして裁量権を与えられ、リーダーシップを発揮し業務を担うこともあるでしょう。管理的立場で働いた経験があれば、大手企業でも一般社員ではなく将来のマネージャー候補として転職できる可能性があります。
大手企業の中には、人事制度の変更や若手の意識の変化により、プレイヤーは多いもののマネジメントできる人材の不足に課題を抱えているケースもあります。このような企業では、早期にマネジメント職を担える人材が重宝されやすいのです。
大きなビジネスフィールドで挑戦したい意欲がある
大手企業の経営資源を活用し、中小企業では実現が難しい大きな仕事に挑戦したいという意欲を明確にできる人は、転職を成功させやすい傾向があります。
「体系的・段階的に仕事ができる環境で成長したい」「多様な人材と切磋琢磨したい」など、仕事に対するも熱意を示すことも重要なポイントです。意欲的であることが伝われば、将来の成長を期待されます。
大手企業の中には、変革を求めて中小企業出身の人材を活用するケースもあります。リスクを恐れず挑戦する力や、変化や革新を推し進める力、いわゆる「ベンチャーマインド」を持つ人材も評価されやすいです。
第二新卒としてポテンシャルが十分にある
前述した通り、20代や第二新卒で大手企業への転職を考える場合、学歴や学生時代の成果などを重視する「ポテンシャル採用」を行う企業も少なくありません。若手は実務経験がまだ少ないため、実績よりも将来性で評価する必要があるからです。
ポテンシャル採用では、社会人として必要なビジネスマナーを身に付けている、仕事に対する価値観や自己理解が十分に進んでいるなど、いくつかの判断基準があります。ポテンシャルの高さをアピールできれば、大手企業への転職を有利に進められるでしょう。
大手企業への転職に向けて今日からできる準備と対策

中小企業から大手企業への転職は、決して無理な話ではありません。しかし倍率が高く入社が難しい傾向にあるのも事実であるため、入念に準備し戦略的に進めることがポイントです。以下で具体的に解説します。
自己分析と志望動機の明確化
自己分析は入念に行い、志望動機を具体的にアピールできるように明確化しましょう。
他の候補者との差別化を図るためにも、これまでの業務で培った経験を深掘りし、どのような場面で成果を出したかを明らかにしてみましょう。その上で、どのスキルや行動が成果に結びついたのかを分析します。
また「なぜ大手企業でなければいけないのか?」という転職理由の明確化も大切です。志望動機が明確であれば、企業選びの軸や自分の価値観がしっかりと面接担当者に伝わります。
転職先では何を実現したいのか、過去の経験やスキルを大手企業でどのように生かしたいのかを具体的にアピールできるように準備しましょう。
徹底した企業研究
企業研究は、自分が長く活躍できる会社を見つけるためにも徹底して行うことが重要です。
求人を確認する際は「なぜその企業から求人が出されたのか」という背景を考えるようにしましょう。企業は何らかの課題解決のために人材を募集しています。自分の経験やスキルが課題の解決にどのように貢献できるのかを、具体的に掘り下げると効果的です。
企業研究では、採用情報やニュースリリースの他に、過去の採用事例も役立ちます。OB・OG訪問や企業説明会を活用すれば、働く人の生の声を聞けるため、よりイメージが膨らみやすくなります。
また入社後のミスマッチを防止するためにも、企業理念や業務の進め方、人間関係、社風などは事前に調べておきましょう。転職の口コミサイトなどを見ると、より現場に近い意見が確認できます。
大手企業の求人を探すならRe就活の求人特集がおすすめです。詳細は以下をご確認ください。
Re就活
アピールできるスキル・経験を習得する
大手企業は即戦力になるような専門性の高い人材を欲しています。自分が専門分野で働いているなら、それらの知識や技術を深めることが転職成功につながります。
また20代や第二新卒から大手企業を目指すなら「ポータブルスキル」も伸ばしましょう。コミュニケーション能力や論理的思考力、問題解決能力、交渉力など、汎用性の高いスキルが該当します。
さらにグローバル展開している大手企業への転職を考えているなら、英語や中国語などの語学力の向上も有効です。TOEICのような資格があるとなお良いでしょう。
キャリアビジョンを明らかにする
将来どのようなキャリアを歩みたいのか、自分のイメージや目標を具体的にしたものを「キャリアビジョン」といいます。大手企業への入社は、あくまでキャリアのスタートラインです。その後自分がどのように成長していきたいのかを明確にしましょう。
具体的には、入社後にどのようなステップを踏んでキャリアを実現したいのか、中長期的な視点でイメージします。キャリアビジョンを持てば目標が可視化できるだけではなく、自己成長のための努力や、モチベーションの維持がしやすくなります。
またキャリアビジョンと転職先企業でのキャリアステップが一致していることをアピールできれば、採用担当者に良い印象を与えやすいです。「長く一緒に働きたい人材」として評価される可能性が高まるでしょう。
転職エージェントの活用
転職エージェントでは、非公開求人の提供や応募書類の添削、面接対策、キャリア相談など、転職の際に抱える悩みに対し幅広いサポートを受けられます。
特に大手企業の転職に強いエージェントであれば、採用担当者から直接聞いた詳しい内部情報を共有してもらえることもあります。
中小企業から大手企業への転職で心配や不安が大きいなら、プロと二人三脚で転職活動を進めるのもおすすめです。

まとめ
大手企業は倍率が高く、中小企業からの転職は決して簡単な道ではありません。しかし正しい戦略と準備、そして強い意志があれば実現できる可能性が十分にあります。
本記事で紹介した成功する人の特徴や具体的な準備・対策などを参考に、自信を持って大手企業への転職に挑戦しましょう。
Re就活では、20代や第二新卒を歓迎する求人を多数取り扱っています。また若手社員のポテンシャルを評価して採用活動を行う大手企業も見つけられます。ぜひ登録の上、転職活動に役立ててください。
