現職の有給消化中に転職先で働き始めてもいい?

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山井 まちか

現職の有給消化中に転職先で働き始めてもいい?

現職での有休消化中に、転職先から働き始めてほしいという依頼があった場合、取らなければならない行動は決まっています。それは、現職の就業規則を確認することです。就業規則の中でも何に注意をして見たらいいのかに加えて、有休消化中の転職先での勤務開始は法律違反になるのか、入退社手続き上で問題になることがないかについてもお伝えします。

 

有休消化中に転職先から出勤してほしいと言われたら?

無事に転職が決まって有休消化に入っているとき、転職先から「すぐにでも働き始めてほしい」と言われたらどうしますか? 欠員補充や増員など、理由があって採用が決まっていますので、人手が足りないことは確かです。これから働く会社からの頼みですから、理由もなく断るのは気が引けるでしょう。

 

そこで、確認する必要があるのが現職の就業規則です。二重就労を禁止しているかどうか(副業禁止規定があるかどうか)がポイントになります。この規定は自社の職務に専念させることが主な目的ですが、2008年のリーマンショック以降、昇給や賞与の支給が難航したことや、社内での新規事業の立ち上げ推奨などから、副業(複業)を許可する会社が出始めています。現職が二重就労を禁止しているかどうかをチェックしましょう。

 

有休消化中の転職先での勤務は就業規則による

有休消化中に転職先で働き始めるのは、法律違反ではありません。労働基準法にそのような定めはないからです。ただし法律違法でこそないものの、現職で二重就労が禁止されている場合には、就業規則に反することになります。

 

また、入社時の労働契約には職務専念義務が含まれるとされていますので、職務専念義務違反を指摘される可能性もあります。現職で秘密保持契約を交わしている場合にも注意が必要です。同業他社に転職し情報を提供したことがきっかけで損害を与えた場合には、法的手段を使って訴えられる可能性も考えられます。

 

就業規則違反や法律違反は起こさないに限りますので、転職先での勤務を開始する前に、現職の就業規則を確認の上で相談をすることから始めましょう。

 

有休消化中に転職先で働き始める前に

転職の際に必要になるのが、年金や社会保険などの入退社手続きです。その手続きに必要な書類のひとつに、雇用保険に加入していることを示す「雇用保険被保険者証」があります。通常は、紛失防止のため年金手帳などと一緒に会社が保管することが多いことから、初めて聞くという方もいるでしょう。

 

その雇用保険は、2社同時に加入することができません。したがって、有休消化中に転職先で働き始めることが決まったら、その時点で現職の雇用保険から脱退しなければなりません。脱退しないと転職先で雇用保険に入ることができない仕組みになっています。ちなみに年金や健康保険は、期間が重複していても加入することができます。

 

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「たぶんバレないだろう」や「いちいち報告するのが面倒」という考えで有休消化中に転職先で働き始めてしまうと、思わぬトラブルを引き起こすことになりかねません。どうせ辞めるからと就業規則違反をしたら、社会人としての常識を疑われてしまうでしょう。

 

転職を決めたとはいえ、現職はお世話になった会社であることに間違いはないのですから、最後に揉めることがないようにしたいものです。“立つ鳥跡を濁さず”で今後の関係を良好に保っておくことをおすすめします。

 

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